四番手

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けの四番手のレビュー・感想・評価

3.9
Metooバックラッシュやデップ対ハード裁判を経た今、ワインスタイン事件をストレートに扱うこの映画の意義は果たしてどこにあるのだろうか…と、観る前は少し疑問だった。

だが観終えた後、力によって消し去られた真実というものが如何に捉え難く、幾人もの人々の努力と犠牲でもってしか白日の下になることはないということを再び認識させられる、今だからこそ意味のある映画であったと感じた。

また、終始抑制的に人物たちを描いており、正義はあれど勧善懲悪になってしまっていないのも、現在の空気に合っていると言えるだろう。それでいて、ワインスタインとそれを支える構造の醜悪さと、そんな得体の知れないものと戦う緊張感は十分に伝わってくるため、観ながら何度か顔をしかめたくらいである。

社会的意義と劇映画としての役割を丁寧にこなした、期待値を越える作品であった。
四番手

四番手