四番手さんの映画レビュー・感想・評価

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マンティコア 怪物(2022年製作の映画)

3.3

ウナギは嫌いか?なら寿司を食えばいい。

同監督の『マジカル・ガール』もそうだったが、とにかく「中」の部分が長い。人物の行動原理がはっきりしないまま日常が進み、最後の方で急になんやかんやあって終わる、
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.4

まるで冷戦下の共産圏のような生活と恋。戦争と失業、煙草とアルコール、ラジオと映画。そしてアナクロなバラード。

それゆえ、かかっている映画が(監督の盟友の近作である)『デッド・ドント・ダイ』であること
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裏切りのサーカス(2011年製作の映画)

3.2

とにかく時系列も関係性も断片化されすぎていて理解が難しすぎる。判ったら面白そうな気配はあるのだが、繰り返し視るにはあまりに静かすぎる。大人の中の大人向けの作品、自分はまだまだ若造。

市子(2023年製作の映画)

3.2

引きの絵が少ないためか、常に画面が狭隘である。そのため人物の表情ばかりが強調され、場面ごとの空気感がいまいち伝わってこなかった。

撮影の事情もあるのだろうが、話の肝となるささやかな幸せと陰惨な現実の
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

2023年の映画納めとして、とりたててヴィム・ヴェンダースのファンというわけでもない自分であるから、それほど感動も興奮もなく静かに見終えて帰るだけで済みそうという理由で、この作品を選んだ。実際、その程>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.4

【二回目後追記】先に断っておくと、私は宮崎駿という人間がとても好きである。「宮崎駿作品」よりも宮崎駿本人によっぽど興味を惹かれてきた、といってもいいくらいである。だから、この作品への評価はどうしてもや>>続きを読む

コロニアの子供たち(2021年製作の映画)

3.1

テーマのわりに薄味な映画である。そこをどう評価するかは人次第か。

パウル・シェーファーの創り上げたカルト的共同体については、『コロニア・ディグニダ: チリに隠された洗脳と拷問の楽園』を観てあらかじめ
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怪物(2023年製作の映画)

3.6

子どもたちの会話や地方コミュニティのリアリティと対照的な、マンガ的とも思える大げさなやり取りがところどころあり、前半では不気味さを高める上で効果的だったのだが、後半の繊細な心情や関係性を描くべき箇所で>>続きを読む

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

3.0

素朴な見た目の主人公と、ドギツい性玩具。

この対照的な絵から、果たしてどのような話が展開されるのか…そしてそれは、このテーマから否応なく想像される、ありがちで興味本位な展開を超えるものなのか。それを
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.0

マリオというキャラクターで、最近のアメリカ映画を作成した。わざと味気なく言えば、そうなってしまうだろう。

だが、「誰もが知っているキャラ」と「誰もが楽しめるストーリー」が最高にシナジーした時…それは
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.4

息苦しい、息苦しい映画だ。

肉体も、精神性も、関係性も、何もかもが息苦しい。少しずつ深海へ沈められていくような、じわりとした息苦しさだ。この息苦しさを救う、一瞬の優しさと触れ合いの絆すら、次には首に
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マッシブ・タレント(2022年製作の映画)

3.3

映画バカたちの友情。映画を観に行く者がこれに心を動かされないわけはない。まして、どこか常にダメ男の雰囲気を漂わせるニコラス・ケイジが本人役を演じているとなれば。

ストーリーにはどんでん返しがたくさん
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

3.7

大戦におけるドイツは「悪者」と、歴史には刻まれている。当然、日本もだ。だがその時代に生きて死んだ大半の「悪い国の人々」も、地球上のどこにでもいる人間でしかなかった。

もしこの作品が数年前に公開されて
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.7

MCUなどによって十分に人口に膾炙した「マルチバース」と、多様なクリエイターたちの活躍によって知られるようになった「移民毒親あるある」。このふたつの流行りのアメリカン・ポップカルチャーをより普遍的に理>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.5

動画配信の時代に、なぜわざわざ映画館に足を運ぶのか。理由は人それぞれだろうが、そのひとつとして「音がいいから」というものが挙げられるだろう。

そういう意味で、本作品は映画館で観るべきであるし、映画館
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.5

アイルランドの歴史を紐解くと、そこには常に何かに閉塞された憂鬱さと、それに対する怒りがつきまとう。

本作品のテーマとなっている「バンシー」の歌声とは、退屈な狭所でniceに生きていた人々が、突然そん
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.9

Metooバックラッシュやデップ対ハード裁判を経た今、ワインスタイン事件をストレートに扱うこの映画の意義は果たしてどこにあるのだろうか…と、観る前は少し疑問だった。

だが観終えた後、力によって消し去
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

3.4

最近のシリーズもののドキュメンタリーは非常に凝ったものが増えており、シリアスなテーマをエンタメに昇華した優れた作品が数多く登場している。

その中で本作品は、むしろ素朴なつくりと言ってもいいだろう。モ
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.4

観る前は『オテサーネク』のような妄執の怪物が登場するのかと思っていたが、どちらかといえば『エレファントマン』の「人・人工/人ならざるもの・自然」を真逆にしたような話であった。

舞台、そして俳優たちの
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パディントン 2(2017年製作の映画)

4.2

かわいいし笑えるし泣ける、完璧な全年齢向けエンターテイメント作品。素直に観てよかった、楽しかったと思える映画でした。

ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

4.0

現在我々が経験しているカルチュラル・ウォーをカリカチュアしたかようなテーマにギョッとさせられるが、内容はいわば「肉を売るコメディ版ブレイキング・バッド」である。

しがない肉屋の夫妻が、どうにもならな
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神の一手(2014年製作の映画)

3.5

「激アツ」な要素がこれでもかと詰め込まれたエンタメ映画。モンタージュ特訓での覚醒、悪人に天誅を下す際のバイオレンスさ、強すぎる盲目の老人に『酔拳2』を思い出すフィジカル最強インテリヤクザ、なぜそこでと>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

3.0

「沼」という場所は、いつも人をどこか不安にさせる。得体のしれないものが潜んでいるかもしれないという、恐怖。それは同時に、そこに息づく生命の底知れなさ、その輝きの美しさでもある。

主人公は沼から逃れら
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.8

可能性があるのに、あるいはありすぎる時代がゆえに閉塞された二人の話である。
他の引力が現れたら容易に離れてしまうのに、それがなくなった途端にまたお互いに接近してしまう、暗い惑星同士の関係性。ふたり近づ
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