GAO

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのGAOのレビュー・感想・評価

4.6
全体的によかった。淡々と進む。
女性側から観てメンタル大丈夫かなと心配しながら見たけど大丈夫だった。是非観て欲しい映画。

直接的な表現は避けてあって配慮されてた。言葉での説明が主だが直接的な表現もありつつ本当にやばい表現は避けてた気がする。
記者2名が取材を推し進める様にドキドキハラハラした。上司を含め良い環境。みんな本当に有能。この事件の取材を担当する事にして、後悔してないという2人が素敵だった。そして、ハリウッドでこれなんだから一般の人々もそういう事例が無数にあり、その人達のために記事にするというようなニュアンスを言っていた事も素敵だと思った。

ずっと肩に力が入った状態で観てしまったので、ずっとドキドキしていた。

2015年のこの記事からバーっと始まったmee tooには、私は肯定的で促進させたいと思っている人。そして感謝してる人だ。

私も当時パワハラ(男女関係なく若手が受けていた)が酷い部署に居たので、本当に心に勇気をもらえた世間の流れだった。そして、人事におかしいと言うに至るまで動けたのも、この運動に励まされたからだ。
そして、大なり小なり、あ、これもハラスメントだ!嫌だ!って気づけるようになったこと、過去見聞きしたセクシズムやルッキズムも嫌だったなとか、嫌だと思うことは悪くないんだと気づけたなと思った。
そう言うこともあり、リスペクトしながら観ていた。

観て思ったこと3つほど…
この事例はあまりにもスケールが大きいが(権力と規模含めて)、大なり小なり世界中に苦しんでる人は大勢いる。そして被害の大小で軽んじられたりする事もありそうな中、どうかその皆全員が救われるように…と願ってしまう。

また、権力を振り翳して悪行を行う人を告発するためには、色々と大変な思いをして整えていかねばならないんだなと思った。多勢で戦わないといけないなんて悲しいがそれしかないのだなと。

そして、被害者の心の傷は計り知れず、話すには相当な覚悟が必要。一度起きてしまうと、それが起きた前の人生は取り戻せないのだなと感じた。
子供が軽々しく言う場面があったが、あれは本当に激怒していいと思ってしまった。しっかり周りの親教育しろよと。そして過去自分の周りにも軽々しく言う人がいたなと思い出し、価値観の違いを悲しんだ。

記者2人の生活のシーン、仕事のシーン、色々な取材先のシーン、そして皆のセリフ一つ一つが丁寧に描かれていた。
2人の熱意が素晴らしい。24時間捧げている描写が多かったが、家族も淡々と受け入れて支えていて、いいご家族達だなと思ってしまった。メディアで働くとそう言うことになりがちだから、あるある〜って思って観てた。

説得に応じてくれた人々のシーン、私もありがとう…と思ってしまったよ…
初めに、実名でセクハラを告発すると、嘘つき呼ばわりや嫌がらせなどの実害があると言うことをしっかりと説明してくれているので、いかに実名告発のハードルが高いか、想像できなさそうな人にも伝わりやすくしてるなーって思った。

よく、被害者女性が悪いとか言う人がいるが、自分が被害者になった時のことを想像したらそんな事言えないよな。そう言えるのは自分が絶対被害者にならないと思えるような人で安全側から言えること。そちら側の人が言っていいことではない。

話の中で、法律的に加害者が有利になるようになってると言っていた。
加害者が有利になるようなことがなくなっていきますようにと願ってやまない。
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