『カメラを止めるな』を紐解くまでもなく、邦画のインディーズ系はときどき超絶ヒット作を出してくるので油断がならない。本作もまさにそれ。最初っから最後まで、本当に楽しませてもらった。
物語は、ある一週間を繰り返すタイムループもの。よくある設定ではあるけれど、本作の質の高さは以下の点に挙げられる。
・繰り返しを認識するためにはあるプロセスを経ねばならず、その手続きがいかにもめんどくさくて日本企業っぽい。企業あるあるネタはサラリーマンの私にぶっ刺さる。
・同じ時を何周も体験してるので、小道具として登場する資料や作成スキルの質がガンガン上がってゆく。やっぱ時間は必要なのだよ、クライアント諸君。
・舞台がほぼ会社のひと部屋なので、芝居のような緊張感が味わえる。演技も小劇団っぽい。
・コメディだが「充実した人生とは」という骨太のテーマを内包している。
・合間合間に挿入される無意味なダサカッコイイシーン。
・ヒロインがあまりかわいくない（高得点）。
笑ってドキドキして最後はホロリ。よくあるじゃんと言うなかれ。しっかりしたシナリオに加え、テンポの良い編集やカットが観るものをダレさせない。ある意味、配信動画的手法ともいえ、最後まできちんと観てもらいたいとのスタッフの努力が伝わってきてアツい。
事情を知る者たちが、うんざりしながらループに対応したり素早く予防線を張るシーンは、キレがありフフフとほくそ笑んでしまった。
コメディにはうるさい私（大声で笑ってるだけ）を、充分楽しませる作品に大満足。友人に誘われなければおそらく鑑賞は10年後になっていたであろうことは容易に想像できる。出会わせてくれたことに、ただただ感謝。
大人の皆さまはもとより、私が観る映画としてはめずらしくエロもグロもゴアもないので、お子さまにも安心してご覧いただける。ただやはり、もっとも観てほしいのは就活を控えた学生の皆さまだ。大切なことが詰まってる。強烈におすすめ。
