るるびっち

宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきましたのるるびっちのレビュー・感想・評価

4.1
笑いとは、『緊張と緩和』と『落差』だろう。
南北の境界線だから、緊張と緩和と落差が笑いとして有効に機能している。
落差の大きさを狙ってか、下ネタも多い。

綿密に取材したリアリズムではなく、南北の境界線という一種のファンタジックな領域に描かれていた。
その南北の軋轢を宝くじの威力が楽々と乗り越えて、次々と不可能を可能にする。金は何と偉大なのか!
金は金でも『金正恩』ではなく現金だ!!
現金なら北だけでなく南の人も、いや世界中が崇拝するだろう。
2つの対立する国を結ぶのは、愛ではなく金の力なのだ。
愛の力と言えば嘘臭いが、金の威力なら腑に落ちる。

恋愛話もあるが、女性が本格的に話に絡むのが遅い。恋愛も幾つかのトラブルの一つ位な扱い。
主人公はひとりではなく南北の兵を同程度に扱っているので、深くは描かない。
前半は宝くじを巡って南北の兵隊の争い。
そして後半は宝くじ換金を巡って、更に可笑しな潜入作戦で前半以上にスッタモンダする。
『恋愛』『偽装発覚サスペンス』『宝くじ換金』のドタバタが同時に起こり、収束に向かう。緻密な構成というより、力技な展開。
結局、南北の両兵隊の間にできる未来への希望と友情がテーマだから、恋愛は程々であった。
今回はそれで十分良かったと思う。
るるびっち

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