【詳述は、『夜の鳩』欄で】洒脱·超越·軽みの東宝時代とまた違う、恐るべき映画的造型·切れ味·組立·時代色·情感、セット美術と熟構図とカット連ね流、鮮やかケレンも呑み込み·真っ向押してくる。この完全版、そして前後の作は、映画史をどれほど豊穣に変えるか。

国立映画アーカイヴ「小特集 没後50年 映画監督 石田民三」にて。
17分の断片だが石田民三演出の果敢さ自在さを確立しつつある感じでわくわくする。もっと観たい。中間字幕が教科書体ぽい字体で妙に読み易い。フィルムの白飛びはあれどおせん役鈴木澄子の表情は陰影をもって仔細に捉えられており、独楽ショットがモンタージュとなる。家屋の俯瞰ショットなどはまさに小村雪岱えがく。

いつか完全版が発見されることを願う