千里

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいの千里のネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

一応観る候補には入れていたもののスルーでいいかなと思っていたのだけど、世間の高評が気になり鑑賞。なんて優しい映画なんだろう...優しさに溢れた傑作映画だった。

ぬいサーの面々がぬいぐるみに話しかける理由は「誰かに辛い話を聞いてもらうことで、聞いた相手が辛くなる」から。麦戸さんの学校に来なくなった理由は「他人の為に声を上げることができなかった自分の弱さに絶望した」から。七森くんが引きこもった理由は「実は加害者にならずに済むから被害者側でいたかっただけじゃないのかと自分を責めてしまった」から。皆が優し過ぎる。

登場人物の中で一番共感できたのは白城さん。ぬいサーのような優しく落ち着ける場所は大事ではあるけれど、そこにばかり居たら厳しい現実社会では生きていけない。厳しい現実も落ち着ける場所も、どちらでも生きようとする彼女の在り方が一番共感できる。と思っていたらまさかのラスト。彼女がぬいぐるみと話さない理由は「相手を想って自分はぬいぐるみに話す七森くんや麦戸さんを優しさから解放したい」から。白城さんめちゃくちゃ優しいじゃないの...友達への思いやりがとっても素敵だった。彼女の気持ちが明かされる前にカメラ視点が彼女の後ろ姿になるところもすっごく良い。

あと、その一つ手前で七森くんが新入生の話を聞いてあげようと寄り添えたのは、麦戸さんとの対話を経たからなんだろうなと。ちゃんと成長が感じられるところも素晴らしかったな。優しさで胸いっぱいになった。
千里

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