たまご

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのたまごのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「安心できるところの方が少ないじゃん、落ち着くとこばっかりにいたら、打たれ弱くなるから」と言う白城が好きだし、ぎゅっと胸が苦しくなる。ラストのモノローグの“本当のこと”は胸がいっぱいになる。傷つきやすい人、自分の加害性に無自覚な人、とにかくみんな観ておくれ。
打たれ弱くていい、打つ方が悪いと言うのは正論だけれど、理不尽の苦難や痛みを担うのは他人ではなくその人自身。大丈夫じゃない世界で、つよくいる以外にないから。打たれ弱くていい社会になってほしい希望を残す。本当は一人一人にカウンセラーがつくことが理想だが、ぬいぐるみと話すことで、自分自身と話す、相手と話す滑走路のようになる。話すことで相手を傷つけてしまうというのは、傷つける側も傷つく側も経験したことがあるからこそつらい。「大丈夫?」に対して「大丈夫」と大丈夫じゃないのに答えなくてもいい。
他者を介し、対話をして対立することで初めて自分の感じたことだけで終わらず、一歩踏み出す強さになる。話を聞くための力。

ベッドでごめん、というシーンうわああとなった
「嫌なことはもっと嫌なやつがいってくれ」
「自分たちと違うからって笑うの?」
「優しすぎるんだよと、わたしは思う。
七森と麦戸ちゃんが優しさから自由になって欲しいから、わたしはぬいぐるみとはしゃべらない。」
金子監督
「もしあなたが生きづらさを感じるのであれば、生きづらさを抱えさせる社会の方が絶対に悪いし、あなたの存在を頷きたいと思った映画」
たまご

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