たまご

夜明けのすべてのたまごのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

いつだって同じ夜はない、地球や星が自転して公転している限り。いちばん暗く深い夜明け前にずっといたいと思うときはあったし、毎日が同じことの繰り返しでどこまで頑張ればいいのかひとり勝手に疲れてしまう。自分が変わらなくとも世界は変化していく。

こんな優しく寛容で理解のある世の中ではないと頭ではわかっているからこそ、こういう世界があってもいいと少しでも思えるといいな。芋生悠が演じる彼女が、あなたみたいな人が職場の同僚でよかったです。と言っていた。このときすでにロンドン行きが決まっていたのかもしれないけれど、変な嫉妬とかの描写あったらいやだなと勝手に心配してたから、ほんとうによかった。胸がきゅっとなるシーンはあっても、むだにもやもやする場面がなくそういうところで全然ストレスがなく観れた。

支えるとかあなたがいないと生きていけないという関係が苦手なんだけど、寄り添うという言葉が合う、この作品では友人や恋人ではなく同僚として、助ける。
家に行ったときに、筒状の箱に入ってたポテチを袋ごと口に突っ込んで食べてたシーン。転職の報告に、転職するんすね〜って軽く快活に返してて、ほっとした。

男女の友情が成立するのかどうかなんて問いはくだらなくても、ただ相手を助けることはできる。

みんなそうでしょうけど。土日休んだあとの月曜日はきつい。

失うもの、仕事、友人、恋人、同じ目標に向かっていた同僚、それまでの生活。それでも、ほんとうに失うものばかりだったか?とじぶんは言えるだろうか。パニック障害を克服する、その人が好きだという作品を映画館に観に行ったときのことを思い出した。上司を理由にある日突然電車にも乗り物に乗れなくなり会社を退社し、時間をかけて電車に乗れるようになり新しい就職先も決まったと。劇中では暗闇は問題ないと言っていたけど、症状はほんとうに人それぞれであって。もっと知っていれば助けられることがあったんじゃないか、と後悔してしまう。
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