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ダーリンズのeriのレビュー・感想・評価

ダーリンズ(2022年製作の映画)
4.5
良かったところ:
夫 ハムザ役の俳優に見覚えがあると思ったら、「スーパー30」冒頭でスピーチしていたフッガー役のヴィジャイ・ヴァルマでした。
フッガー役でも見せたように、スマートで優しげな風貌の彼の変貌ぶりがある意味見どころです。
スイッチが入ると、アーリヤー演じるバドルに鬼畜めいた態度で危害を加える様は、演技だとわかっていても本気でビビッて一時停止ボタンを押してしまったほど。
強気なバドルが怯えて震えながらハムザに縋る痛々しさ、優しげなハムザが豹変する様子、どちらも地上波で流すのは難しいくらい過激なシーンとなっています。怖いけど、役者さんたちの本気を観られるのはとても嬉しい。

後半とある出来事のあと、バドルはやっとハムザへの復讐に出ます。ここからストーリーがコメディタッチになっていくので、怖いのに随所で笑ったりする自分にも怖くなります。
アーリヤーの強さがハムザを追い詰める所は、じっとり暗いのになぜかスカッとします。
バドルの母シャムシュのキャラも非常~に良いです。ムスリム女性だから、夫には従えとでも言うのかなと思ったら、「そんな夫は殺してしまえ」とバッサリ。具体的なプランまでバドルに授けます。
シャムシュの家に出入りする男性ズルフィも、ハムザの蛮行には心を痛めており二人の手助け(パシリ?)をします。
3人の協力体制のもと制裁されるハムザの図はだいぶコミカルに描かれており、前半の緊張続きの展開とは雰囲気が異なります。
ある種マンガチックでもあり、なんだこの作品は…と頭を抱えましたが、ちょっと救われました。

もう少し!なところ:
特にありません。ただ、家庭内暴力、アルコール依存症、共依存がテーマだと思うので、どうやって描くのだろうと若干心配していました。そして、正解がないテーマなだけに、どう描いても批判は免れないであろうことも予想ができました。
私はこの作品の描き方、ラスト、その後のバドル共に好意的に受け止めています。
軽めのタッチで描く家庭内問題。そういうものがあっても良いのではないかと思うのです。
eri

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