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響け!情熱のムリダンガムのeriのレビュー・感想・評価

響け!情熱のムリダンガム(2018年製作の映画)
5.0
良かったところ:
心地よい音楽と、作品を貫く「芸道」というテーマ、その核にカーストや生まれによる差別。バランスを取るのが難しいトピックを、きれいにまとめた作品と感じました。
あと、学ぶ余地が多いのが個人的にとてもよかった。ストーリーは難解ではないですが、設定や演出の端々に??と感じるシーンが多くあったからです。
なぜタミル人なのにピーター・ジョンソンという英語名なのか?(キリスト教徒として洗礼を受けたから)、なぜキリスト教徒なのか?(恐らく、差別を避けるために伝統的な名前を名乗るのをやめるためか)、なぜお父さんの故郷の人はプラコップでチャイを渡してきたのか?(…これはお父さんの解説を聞いて震えました)等々。
観賞後にパンフレット(ものすごい出来で、パンフレットの域を超えてる!)やレビューを読んだりして、やっと「あれはこういう意味だったのか」と腑に落ちる。
その間もずっと耳の奥でなり続けるターラ(リズム)。
余韻を長く長く楽しめる良作でした。

音楽はさすがに秀逸すぎました。
ラフマーンによる挿入曲はもちろん、ムリダンガムの演奏から声楽から、ワンテイクで撮ったんか!?と言いたくなるほどの完成度の高さ。
途中でフィクションを観ているのか、ドキュメンタリーを観ているのかわからなくなりました。
ぜひとも映画館か優れた音響設備で観ていただきたい作品です。
「Sarvam thaala mayan」は観賞後もSpotifyでずっと聴いてます。
世界はリズムで溢れてる。それがこんなに優しく語りかけるような旋律の曲になるんだなぁ…。


もう少し!なところ:

特に感じなかったです…!
音楽はとにかく素晴らしく、芸道とカーストについての説明も充分で理解しやすかったです。
万人とまではいかずとも、音楽好きな人にオススメできる良い作品でした。


ヴィジャイが好きすぎて看板立てたりするピーターたちのファン活動が面白かったので、私も家の中で推しの看板作るか…と妙なところで感銘と影響を受けました笑
(「バンバン!」公開時にリティクの看板作ったり)
名刺とかもいいですよね。アナログ故の良さを感じます。
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