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ボーンズ アンド オールのやぎのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.0
『ボーンズ・アンド・オール』は、2023年を代表するであろう傑作でした🐐カニバリズムというホラーを扱うと同時に、ロードムービー/ラブロマンスであるという離れ業をすごいレベルで両立させた恐ろしい作品。グァダニーノにとって初となるアメリカでの撮影も大成功で、心から拍手を捧げたい。

緩急がありつつ、時にテンポ感が独特の編集や、フィックスと手持ちのタイミングが絶妙なカメラ、ゴア描写は赤で通常パートは青という画面の配色などなど、隅々までグァダニーノなので、彼の映画が好きな人はもうマストです。テーマも、少し特殊ケースとはいえ、いつも通りはぐれものを扱っているし。

キスは互いを補食し合うことに近い、というイメージを何度か画面に定着させていたのも印象的。補食が生きるための手段というだけでなく、愛や孤独を埋めることのメタファーとして機能するような操作が、シナリオやイメージにおいてなされていた。ただのホラーではなく、そこにはレイヤーがあったよね。
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