問題作。すごすぎて、少しも共感はできないのだけど、最後は涙が止まらなくなった。
この監督は何故こんなにもアウトサイダーを描くのが上手いのだろうか。苦悩や葛藤がありありと伝わってくる。
孤独が嫌で、他人と幸せな瞬間を分かち合いたいと思うのは、人間の根源的な感情なんだなと思った。
主演のテイラーラッセルも良いけどマークライランスの不気味さのパンチがとんでもない。
カニバリズムを色々なマイノリティやアウトサイダーのメタファーとして描いているのだと思うけど、イーターの彼らが欲望を満たすためには人が死ななくてはならず、その過程に躊躇がなく、罪悪感ではなく恍惚感が強いリーのキャラ描写には違和感があった。犯罪に対して正当化している様に捉えられてもおかしくないのが悲しい。そこだけがどうしても消化しきれない。
カニバリズム衝動を抱えた人で思い浮かぶのはアーミーハマーなのだけど、奇しくも彼こそテイモシーシャラメとルカグァダニーノの出世に一躍買っていることを思い出し、すごく複雑な気持ちになった。真偽は不明だけど、性的倒錯の傾向は間違いないし、リハビリも兼ねて彼こそこの作品を観てほしい。
23.02.24 TOHOシネマズ六本木