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ボーンズ アンド オールのSPNminacoのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
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あくまでガール・ミーツ・ボーイのロードムービー。出会うべくして出会ったマレンとリーの旅は、夜から朝にかけて人目を避けた静かな時間に、叙情的ギターの調べがゆったり流れる。かなりゴアで血生臭いとはいえ、ルカ・グァダニーノにしては大人しめ。過去作の方がもっと刺激的だったよ。
初めて遭遇した同類サリーと一緒のお食事と違って、マレンがリーと食べるのはダイナーのモーニング。若い2人はまだ見ぬ景色、まだ見ぬ母と答えを追ってどこまでも行ける…はずだった。
若く無謀な旅とそれに介入する大人の構図は、『マイ・プライベート・アイダホ』に似てる。導いてくれるはずの大人は、2人にとって悪しきお手本。保護を失った子どもたちは、明日なき刹那を行くしかない。けれども、愛は再び2人を引き裂く…って、Joy Divisionかいなと思ったら、そこで敢えて“Atomophere”とNew Order “Youre silent face”使うのかグァダニーノよ。
シャラメのダメージすぎるジーンズ姿は、ボロボロに喰われた後の身体にも見える。なので、「骨まで愛される」のは想定通り。けど、そもそも2人の間にそれほど情熱的な恋愛感情は見受けられない。欲望を抑えざるを得ないせいかもしれないが、必要としてるのは分身的な同伴者だろうから。また、タブーとして社会に認められない彼らの存在が現実のマイノリティを比喩する意図はあまり感じられず(むしろ、そうだったら問題あるのでは)、ただエモいお伽噺だった。
ていうか、シャラメもクロエ・セヴィニーもマイケル・スタールバーグもすごいことになってるけど、それ以上にマーク・ライランスが強烈すぎて(ヨダレ…)。結局ライランスがみんな食ってしまった感…それでいいのか?
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