このレビューはネタバレを含みます
極めて小さな話でありそうながら、ある意味抽象的な世界観まで振り切って作られる美意識と一体化の願望を持つ若者達のロードムービー。
食人ものというより、青春映画の要素が強い。
好みの問題もあるかもしれないが、文字通りボーンズ&オールするシーンはエモーショナルに描くべきではないだろうか。ラストシーンに美しい情景と抱き合う2人が映し出されるが、その『美しい情景』にマイノリティ達の本当の社会的抑圧や生きづらさがスポイルされている。
カニバリズムと言う考え方は古くから存在しており、そこには植民地主義と密接に関係する人種差別的な意味合いも込められている。
そこで、ビックリ人間としてでは無く、ティーンの葛藤として描いているが、彼らに対しての生活様式(camp)を感じなかった。
肉を焼く人や調理する人、一つの宗教を築くもの。そして、人目を忍んで日陰で生きるものが存在しないのである。
また、彼らの問題が全て親や家庭環境に帰属するもなのかも甚だ疑問である。
向くべきはこの『世界の普通』に対しての抵抗であり、親•家族だけの問題ではないと感じる。
愛の物語として、同一線上にあると言っていい、クローネンバーグの『クラッシュ』の方が私は誠実に見えてしまった。