えみ

サントメール ある被告のえみのレビュー・感想・評価

サントメール ある被告(2022年製作の映画)
3.3
叙事的なようでかなり叙情的な作品。正直眠かった…裁判傍聴をしているような感覚になる作品。この作品が何を感じさせようとしているのか、この被告人が何を訴えようとしているのか、フランスにおける差別や世界のジェンダーギャップ、かつての被植民地支配国における分断に思いを馳せなければ想像することすら難しい。パンフレットを見て初めて、裁判という適正手続が、刑罰の正当性の判断のためだけでなく、その人個人の語りと複雑さに光を当て、多数派の理解しやすい理屈からある程度距離をとって、全ての人を平等に扱える場所であるという当事者と社会にとっての意味ももつことを認識できた。複雑なものを複雑なままに描く、難しい作品だが、その存在意義は大きいのだろう。母親になったことのある人や、誰かの娘である人にとっては、より心に感じるところが大きんだと思う。フェミニズム映画というと少し違ったニュアンスになってしまうような気がするが、女性として生まれた人間にこそ伝わるものがあるんだと思う。
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