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サントメール ある被告のoのレビュー・感想・評価

サントメール ある被告(2022年製作の映画)
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被告であるロランスを取り巻く非常に複雑な状況を、理路整然と混沌を描くその手腕に唸った。
『あのこと』を思い出させるけれど、日本に置き換えて考えるなら、技能実習生の堕胎だと思う。
なぜ論理的に説得できるように証言しないの?と思うかもしれないけど、それこそが彼女の率直さであり、事件当時、混乱していたことを今は客観視できているからこそ、矛盾した説明に思われてしまうんだと理解できる。
実際の裁判を台詞にしていて、とにかくその言葉に耳を澄ませたい。なんでこうなったの?とかそうしないことはできなかったの?と思う前に、彼女の置かれた状況をまず考えたいと思った。
他方、すでに話題になっていますが、特に男性におかれましては書籍のガブリエル・フレア『射精責任』が併読本と思われます。
受け手の読解力を信じた、パワフルな映画だと思います。
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