ヒノモト

ホワイト・ノイズのヒノモトのレビュー・感想・評価

ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)
4.5
東京国際映画祭2022より、「マリッジ・ストーリー」のノア・バームバック監督・脚本&アダム・ドライバー主演の12月にNetflixにて配信予定作品。

配信予定作品ですが、コメディなので映画館で観た方が笑いを共有できた感じがして、余計に面白く感じました。

物語はある大学教授が化学物質の流出事故に見舞われ、情報の錯綜や混乱の中、家族を守るために逃走するというお話。

と、公式情報に沿ったあらすじを書きましたが、3部構成になっていて、事故によるドタバタは2部で一段落して、その後の物語が深みに入っていくのが、輪をかけて面白かったです。

主人公の大学教授を演じるアダム・ドライバーがほぼ全編出ずっぱりで、家族や他のキャストも皆クセがあって、台詞と台詞の間が食い気味で、テンポが速く、情報量多めのクドい言い回しが演劇的に感じるところもありますが、コメディとしては笑いを誘う要素になってます。

事故や災害、近年のコロナウイルスのマスコミ報道や口コミ、噂、陰謀論などになぞらえた、情報の混乱や疑念に翻弄されていく、地域住民たちの姿を描きつつ、大学教授という職業における環境から、少し頭でっかちな先鋭的な思想に囚われて、自身を窮地に追い込んでいき、死生観や病におけるプラセボ効果など、心理的な葛藤にまで及ぶ、なかなか面白い着地の仕方をする、かなり変わった映画でした。

これ以上は辞めておきますが、物語の設定を生かしたエンディングも楽しかったです。
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