ヒノモト

インフィニティ・プールのヒノモトのネタバレレビュー・内容・結末

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

ブランドン・クローネンバーグ監督による「アンチヴァイラル」「ポゼッサー」に続く3作目のSFスリラー作品。

高級リゾート地に資産家の娘である妻と共に訪れた作家のジェームズが、小説のファンだと言う女性ガビとその夫と意気投合し、敷地外にドライブに出かけ、そこで起きるトラブルから発展していくお話。

上映後オンラインで監督とのトークイベントがあった時に鑑賞しました。
個人的に体調不良状態が続いており、かなり時間が空いてしまいましたが、短めに記録を残しておきます。

ここから先はネタバレを含む感想となります。

全貌は最後まで明かされたないため、謎めいているのですが、リゾート地独特の因習と、セレブのマインドが合致することで成立する「自分殺し」のメカニズムと、そのマインドになりきれない主人公の孤独と運命が精神的に残酷で、息苦しく感じるほどの寂しい結末に、前作ほどのエンタメ性はないですが、スリラーとしては充分面白く感じました。

ただし、自分そっくりのクローンが罪を償うというシステムの治外法権な感覚と司法や現地の人たちが描かれないことが、ミステリアスというより片手落ち、説得力不足に感じてしまう部分もあるため、この偏った描写を寛容になれるかどうかで、評価は分かれるかもしれません。

監督のお話では、冒頭や劇中に出てくる異質な仮面は「武器人間」の監督がデザインしたそうですが、意味ありげに感じさせながら、これ自体に意味はないそうで、それも少しもったいないようにも感じました。
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