ヒノモト

NN4444のヒノモトのレビュー・感想・評価

NN4444(2024年製作の映画)
3.5
不条理ホラー短編作品集。
短編ながら4作連続で観る体験は少し脳が疲れました。
短めに感想書きます。

全体的には、不条理な世界観をどのように映像に溶け込ませるかというところと、限られた時間内に消化できる内容になっているかが気になるところでした。
作品ごとの向き合い方は違いがありますが、短編であることで登場人物の境遇やその側面としての現状からの打破、変容としての切り取り方は良かったと思いました。

「犬」
婚約したばかりの女性が、夜道で出会ったひとりの女から犬のように吠えられ、その女性のことが忘れられなくなってしまうというお話。

またしても小川あんさん主演作。
抑圧された主人公の境遇と犬のように吠える女性からの影響を端的に描いていて、現実と非現実の曖昧さが精神的な不条理さを感じさせるところは良かったですが、主人公自身の抑圧環境描写はもっとあからさまに描けていれば、その落差で終盤の残酷さが際立ったと思いました。

「Rat Tat Tat」
あるパーティに出かけた夫婦が、大勢の人々で賑わう会場で得体の知れない狂気に巻き込まれるというお話。

正直あまり良くなかったです。集団圧力を描くのに、人間関係が分かりにくく、誰からの視線カメラなのか、どこまで映すべきかということが、恐怖に結びついていない感じが最後まで続いた印象でした。タイトル文字も凝りすぎていて読めないのもマイナスだと思います。

「洗浄」
湖のほとりで飲み会を楽しんでいた若者たちが、仲間のひとりが溺れかけたことをきっかけに水の呪いに飲み込まれていくというお話。

映像と音響が際だっていて、不条理ホラーというテーマには一番即していたと思いました。
主人公の女性の立ち位置が、グループから距離を置いている感じや、水や音響の際立たせ方が効果的で、短編としてのまとまりも良かったです。

「VOID」
不慮の事故で友人を亡くした高校生・麻木の周囲でおかしな現象が起こりはじめるお話。

友人の死に対して未整理な高校生の境遇と周囲の人たちの温度差という点においては明解だったと思いますし、不可解な死が学校で起こり続けることの不条理さは見応えがあったと思いましたが、周囲の大人たちの説明的な台詞は余計に感じて、学校内の事象や混乱やその違和感だけでも充分、その不条理さは伝わったように感じました。
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