このレビューはネタバレを含みます
1の多層的な面白さを期待していくと肩透かしを喰らうが、カタルシスを生むパートを潔く捨てて、特定の(自分の鬱憤を晴らすために「悪のカリスマ」を望む)人々をまっすぐぶん殴っていく姿勢がよかった。1に続き、現代社会の写し鏡映画。
やや感情の移り変わりが早い+やたらと(意図的に)繰り返されるミュージカルシーンにより序盤は置いていかれそうになるが、製作陣のやりたいことがわかってくるとジワジワ恐ろしくなっていく。
特に『That's entertainment』や『close to you』の使い方はなんというか…本当に嫌な使い方だった(いい意味で)。実際いるんだよな、エンタメが薬にも毒(麻薬)にもなることをわかった上で己らの欲求を満たすために利用する人間!「クリエイターが作った愛や夢の作品をお前らの餌にするな!」というDCクリエイター陣の強い怒りを感じる。
しかしハーレイ・クインをこう使うとは思わなかったな。イメージを逆手に取られて完全に意表を突かれてしまった。
…と同時に、これは徹底的にアーサーの物語なのだなと思い知らされる。どうか彼のように優しく純粋で不運な人々は、取るべき手を間違えないでくれ…。
(最後に面会に来たのは、多分ゲイリーなのではないかと思う。"ただのアーサー"を尋ねてくれる人物は彼ぐらいしかいない。そう思うと余計に、面会室まで辿り着けなかったのが苦しい。)