犯罪映画がミュージカルへと変貌を遂げるアイディアがまず素晴らしいのだけれど、ミュージカルそのものを皮肉ってもいる。この映画では、ミュージカル的な空間ではなく、リアリティラインを維持した上で歌い出すというシーンがいくつかある(前者もある)。つまり、現実で突然歌い出したら狂って見えるよね、と。まぁ、短絡的な皮肉ではあるが…。
で、やっぱりレディー・ガガが良い。ジョーカー自身も「二人のショーだよね?」と自虐的に言及しているが、これはレディー・ガガの映画だと言ってしまいたくなる。わかりやすい美形でもないが、なんか目が行ってしまう感じ。カーペンターズを歌い出すシーンなんか本当にグッとくる。比べるものでもないかもしれないが、映画におけるデュア・リパやテイラーのペラペラな存在感を思えば稀有な才能と言うほかない。