ひっじょーに楽しみにしていたのが公開されてみたら興行収入・評価ともに散々というニュースなんかもあって腰が引けてしまいましたが、イヤ俺ぜんぜん普通に面白かったけど?あれ?という印象でした。
前作をどう観たか、それで今作の好き嫌いもだいぶわかれるのではないですかね。自分はもともとアーサーの越し方からしてあの知力と残酷さを併せ持ったうえでとことん虚無的に悪を極めるジョーカーになれるはずもないし、これはこれで単に「所詮この程度の男」の話なんだろうなーと思っていたので実に腑に落ちる、まあそりゃこうなるよなっていう納得しかありませんでした。続編なんだから何かしらあって塀の外に出て悪のカリスマとして開花していく話なんだろうなって思った人ほどナンジャこれってなるんじゃないですかね。自分と同じようなスタンスで前作を観た人なら世間の評価よりは楽しめると思います。
もうひとつ評価の分かれるポイントはミュージカル仕立てっていうところですかね。これも自分はレディーガガけっこう好きなので(とくに彼女の本芸であるEDMっぽいやつよりトニーベネットとデュエットしてるジャズものとかアリー・スター誕生の楽曲とか)、全然楽しく観られました。ただホアキンフェニックスがアーサーとしてのトーンを保ったまま歌うのでちょっと歌い方がヘタウマ感重視というかふにゃふにゃした歌い方で、そこは好み分かれるかなーと思いました。レディーガガもあえて上手すぎないように歌ったとインタビューで語っているそうで(アリー〜と違って歌手志望でもない一般人が歌うっていう設定なので、とのこと)、まあそう言われると一理ある気もしますが、どうせ歌うときには非現実的な演出にぐっとシフトするんだからもっと朗々といこうよできるんだろうしよ、と思いましたね。あと刑務所とか裁判所とか人が集まってるところで歌って踊ってなんだったらやっぱりミュージカルらしく群舞も欲しかったですね。スタンダードナンバーでやるんだからなおさらね。ララランドがミュージカルとしてそれなりに評価されてるっぽいんだったらこっちもそこまでけちょんけちょんに言わなくてもいいんじゃないの?というところ。別にあっちも嫌いじゃないですけど、なんかラブストーリーとしてミュージカルとして(おそらく特に日本では)不朽の名作扱いになってるっぽい印象なのですが、ならこっちも十分いいセンいってると思ってイイんじゃないでしょうか。
未見なので断言はできませんが、いま同じタイミングで公開されてる邦画でこれより全然アレな出来栄えだけどお客さんが桁違いに動員していてメディアも内容についてとくに悪く書いていないメジャー作品って複数あると思うんですよね。邦画やアニメに比べて洋画の興行収入がからっきしな現状を非常に憂慮している洋画好きとしてはやっぱりなんだかなあと思ってしまいます。恐らくですが10年後とか、1作目の世間的なインパクトが体感として忘れられた頃に今作と並べたらそんなに遜色なくセットで観られるんじゃないかと思いますよ。とりあえず前作鑑賞済みでミュージカル嫌いじゃなくて今作も気になってる人は観ておいて損はないと思いました!