非英語圏のものも含めればとにかく作品数が多いうえに当たり外れの幅が大きく、かつサムネ画像や作品紹介を見てもなかなか見極めがつかないのがネトフリオリジナル作品の困ったところですが、これは当たりですね!かなり面白いです!
悪徳警官にからまれた主人公がいろいろ酷い目に合わせれて「もう許さん!お前ら絶対にゆるさん!」となったら実はチョー強かった系、というとウワそれめっちゃ面白そうなやつやん!となる人と、ハイハイわかったわかりましたそういうランボー1作目みたいなやつを今さらよくやるよなーってテンション下がる人と、両方いると思いますがどちらにもちょっと思いとどまってほしくなる内容と出来栄えです。
前者のようなランボーとかイコライザーとかを連想して前のめりになった人にはそこまで「アクション映画」ではないですよ、というのは言っておきたいところです。アクションも重要な要素で見せ場もありますがそこまでてんこ盛りじゃないですし、むしろ全体のなかの要素のひとつっていうイメージですね。サスペンス映画のなかにアクションシーンもあるよ、というぐらいのバランスというか。そして相手を殺さずに無力化しつつ自分も生き残るという部分の強さが主人公の特色なので、そのへんもジョンウィック1作目みたいなバイオレンス感を期待するとなんだ地味でつまんねーなってなると思います。
いっぽうでその裏返しというか、そういうのはイマサラ別にそそられねーよ何回こすったと思ってんだよという人には、サスペンス映画として脚本も見せ方もすごく念入りに仕上げられてるので、そう思ってぜひ観てほしいところでもあるんですよね。先に書いたように単に撃ちまくって殴りまくっての解決を目指さないところとか、主人公とヒロインの恋愛感情ゼロ、でもお互いを思いやりあいながらの共闘関係とか、いろいろイマドキな方向性にしてあると思います。音楽もサスペンス感あってよく効いてるし。
あと監督が脚本だけでなく編集にもクレジットされてますが、アメリカ映画って組合が強いから監督が編集に携わったらダメとかじゃなかったでしたっけ?スティーブンソダーバーグとかアルフォンソキュアロンとか、編集ができる監督も編集は専門の人にやらせて雇用を確保しないといけないことになってるとか。配信スルーだったらそういう組合ルールが適用されないということなんでしょうか。今作はそれがプラスに作用してると感じました。
ジョンボイエガを主役に据えて撮影してたのが途中で交代したそうなのですが、このアーロンピエールがガタイの良さや知的ながら目力ある感じとかすごくハマってて良いと思うので、そういう裏話も頭において眺めてみるのもより面白くなるかもしれませんね。僕がジョンボイエガにスターウォーズのときのずっこけキャラのイメージをいまだ持ち続けすぎてるだけなのかもしれませんが。
国家がどうの政府がどうのというほど大きな話のサスペンスじゃなくて、人がそこまでバタバタ死ななくて血もドバドバ流れず、でも硬派な男っぽさはバッチリ伝わってくるっていうバランスってなかなかないんじゃないですかね。この形容でピンとくる方なら観て損はないと思います!