この年まで裸眼でやってきましたがついにメガネを導入しました。おもに乱視対策なのですが、新しいメガネをかけてこの作品を鑑賞したところ16mmフィルムならではの粒子のざらつきもしっかり視認できて、何回かこの作品を観ようとしたもののなんかちょっとムードじゃなくて再生できてなかったのはお前はやがてメガネを買うからこれ観るならその後にしたほうがいいよっていう映画の神様の采配なのかと思いました。
そんな本作。ケイコ目を澄ませては劇場で観て(このときは大スクリーンなのでしっかり16mmの質感も堪能できました)淡々としたポジティブさみたいなのがすごくイイなと思ったのですが、今作もまさにそんな感じでした。この、なんでしょうね、「ほのぼの」と言っても言い過ぎだし「ドライな」と言っても言い過ぎなような独特の感触。引いた撮り方が多いことやカットを割らずに会話をずっと続けていくところとかでそう思うんでしょうか。色調の淡さみたいなのが全体的な「淡々とした」印象につながるんでしょうか。主演二人の会話もそうですが、とくに職場のシーンで画角に収まってる人たちがてんでに会話しながら話題に加わるときは加わって、という自然さとか演るのも撮るのも手練れの技だなと思いました。
なんとなく邦画に手が伸びないうちにナミビアの砂漠も公開時期を逃してしまいましたが、こういう作品なら観たいしほんとは映画館で観るべきだと思いますよね。ケイコ〜とか本作とか、あとパッと思いあたるところでは「ちょっと思い出しただけ」とか、そういうのだったら面白く観られる自分に「ちょっとお前それならこれは劇場公開時にちゃんと観といたほうがいいぞ」っていう邦画があればぜひそのときにご教示いただけるとありがたいです。とりあえず三宅監督の次回作は必ず劇場で観る所存です!