マインド亀

ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!のマインド亀のレビュー・感想・評価

4.5
※2023/10/7 追記
https://www.youtube.com/live/04OOKX60Pa8?t=4709

BLACKHOLEにて感想メッセージが読まれました!
「キラキラした青春を送ったやつなんて観たこと無い」とのご意見をいただきました!
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ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズの「ティーンエイジ」の部分にフォーカスを当てた『おそ松さん』的タートルズ

●予告編からそのビジュアルがすっごいいい感じだったので、初めてTMNT作品を映画館で観ました!『ミッチェル家とマシンの反乱』の脚本家ジェフ・ロウが監督。

●『ミッチェル家』ではTikTokやYouTube世代に突き刺さるような、コミックからそのまま出てきたようなポップでアナログな擬音の吹き出しがそのまま演出として表現されていて、『スパイダーバース』のように新しい次元のアニメに昇華していました。
そして本作ではアナログな手描き感とリアルっぽい(クレイアニメのような)陰影が融合し、まるでコンセプトアートをそのまま動かしたような、ポップでカラフルな楽しいアニメになっているのです!
『スパイダーマン:スパイダーバース』の製作に携わったヒットメイカー、フィル・ロードとクリス・ミラーがプロデュース作品として送り出した、3DCGアニメーション映画『ミッチェル家とマシンの反乱』、その脚本に携わったジェフ・ロウが本作を監督する、という、『スパイダーバース』から始まったアニメの種子がドンドンと花開いてるのが感じられてとても嬉しい限り。もはやビジュアル的にリアルに極限まで近づけるCGの作り込みは過去のもので、アーティストの個性や、リアルとは程遠いテイストを際立たせるのが昨今のアニメの主流なんでしょうね。

●ということで、2014年、2015年の『ミュータントニンジャタートルズ』シリーズでは、それこそリアルな方向のCGで描かれた彼ら。それらはアクション重視であったためか、ガタイが完全にマッチョな方向でした。ですが今回の彼らは完全にティーンエイジャーの体格となり、これもストーリーで何を語りたいかが明確になった証拠。つまり本作のテーマは完全に、ティーンエイジャーの悩みや鬱屈としたストレス、そしてアイデンティティの確立を描いた、まさに等身大のタートルズなのです!だからこそ邦題に『ティーンエイジ』が抜けているのがちょっと残念かなぁと思いました。

●彼らを取り巻く環境は、人間から受ける差別や父親からの過度な保護、兄弟以外にコミュニケーションがとれる同世代の友人がいない孤独など、よくよく考えるとかなりハードな青春地獄。その中で人間に見つからないように映画上映を盗み観たり、兄弟で無益なゲームで時間を潰してたり、観てると少し物悲しくなる青春を送っているのです。作品全体に流れる、頭のネジが足りない感じの底抜けな明るさがあるだけに、辛さが際立つように感じました。
そこでふと思い出すのは日本のとあるアニメとの共通点。
テンポ感あふれるギャグの応酬、ポップな色使いのアートワーク、色分けされた兄弟、そして非リア充な青春………ここまで書けば分かりますね?そうこれは、『おそ松さん』とほぼ同一ではありませんか…!?
私も『おそ松さん』は熱心に見ていた方ではありませんが、真っ先に思い出してしまいました。まあ、影響を受けた、ってことは無いのかもしれませんが、「キラキラしてない青春」を描いたアニメとしてヒットした『おそ松さん』との共通点があるということは…まさしくこれは自分のことを描いた作品じゃないですか!?と思うわけですよ。もうね、私には青春というものはなかったなあ…はははは(泣笑)

●ただただ普通の青春を送りたいという一心で行動を開始する亀達とエイプリル。これだけで泣けてくるんですが、そこからさらに成長する彼らの、下心なき正義感!
いささか性急な感じもしますが、彼らと人間との壁をぶち破る展開に、まるでサム・ライミ版『スパイダーマン2』を思い出すような感動が突き抜けて行きます。
その展開におけるアクションの最高さよ!もうね、仲間が横並びで歩くシーンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』以来にブチ上がるシーンでしたね。ズルい!
そして『ゴジラ』や『進撃の巨人』など日本のポップカルチャーからも強く影響を受けているのもなんだか誇らしく思えてしまうんですよね…影響、というか話の装置になってます。
もう、我々が観ない手はない、とすら思っているのですが皆様はいかがでしょうか。キラキラした青春を送った人たちは、この作品を他者のものとしてみるかもしれないし、他所理解のきっかけとなるかもしれないですよね。それだけにとても懐の深い、それでいて大爆笑エンターテイメント作品だと思います。是非観てください!
マインド亀

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