ひーちゃん

ちひろさんのひーちゃんのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
3.4


以下、自分なりのちひろさん考察。
(という名の感想)

















最後、ちひろさんがなぜ去ってしまったのか自分なりに考えてみました。

①ちひろさんはスナフキンである。

まずちひろさんは「孤独を愛する人」であるというのを前提に考える。漫画ではもっとひとりの生活をいきいきと過ごす描写が多かったので、ちひろさんは孤独を埋める作業も楽しんでいる人のように思う。孤独な自分も愛すべき自分で、アイデンティティなのかもしれない。そのうえ好奇心が旺盛なようにも見えるから、まだみぬ景色や生き方をたくさん経験したい人なのかも。ちひろさんは旅人であり、スナフキンなのかもしれない。スナフキンも冬の間にはムーミン谷を離れて旅に出る。ムーミンに引き止められても「これは自分に必要なことだから」と言って聞かない。ちひろさんもひとつの場所に心も体も置ききらないことが自分にとって必要なことだと考えているのかも。



②大丈夫なわたしで、もう一度旅に出る。

一方で、確かにちひろさんは家族(母親)からの愛に飢えていた。心の中の幼いちひろさんが寂しがると彼女も不安定になった。そんな彼女はタエちゃんをはじめ、あの街のみんなに確かに救われた。家族を見つけることができた。だからこそ、今度は大丈夫な自分で旅に出たんじゃないだろうか。もしかすると、あの別れは今生の別じゃないのかも。何かあったらタエちゃんと電話をしたり、ふらっとお弁当を食べに帰ってくのかもしれない。今度はもっと自由でいられるね、家族の愛情は自分に自信をくれるから。


ちひろさんが街を去った理由は、決してネガティブな感情からひとりになりたいわけじゃないとわたしは思う。愛するあの街のみんながいるからこそ、もう一度、孤独の旅に出れたのだ。映画のラストでちひろさんは牧場で働いていたけど、もしかしてそれってのこのこ弁当で過ごした日々が関係しているのかな。おいしいご飯を食べてもらうことについて、今度は食材の視点から知りたくなったとか?だとしたらかわいすぎる。いつでも帰ってきておいでよね。あなたの場所はここにあるから。