BK477

リーサル・ウェポンのBK477のレビュー・感想・評価

リーサル・ウェポン(1987年製作の映画)
4.0
「48時間」('82)の流れを汲む80年代アクションの傑作。

ダイ・ハードと並んで幅広い人にオススメできる王道アクションで、映画にあまり触れたことがない人も、こういう映画に触れて欲しい。 印象的な場面が続き、最後の最後まで飽きさせない手堅い構成にも唸る。

「48時間」「コマンドー」('85)を手掛けたジョエル・シルバーは本作の87年と同時期に「プレデター」を兼任し、 更に翌88年には「ダイ・ハード」の製作も行う80年代の大立役者。 名だたる80年代の大ヒット作に名を連ねているのに、このことは世間にあまり知られていない。
このドッカンボッカン大好きなジョエル・シルバーの作風は、
マイケル・ベイへと受け継がれていると私は思う。


刑事映画のジャンルは70年代半ばで一旦ブームが下火になる。
「フレンチ・コネクション2」('75)
「ダーティーハリー3」('76)

しかし「48時間」('82)のヒット後、80年代は「ビバリーヒルズ・コップ」('84)など再び刑事映画が隆盛になる。 本作もまたアクション映画・刑事映画史においては重要な位置づけであり、アメリカの社会のありよう(人種差別)の描写が完全に変わったターニングポイントだと感じさせる。

ダーティーハリーも、48時間も、ビバリーヒルズ・コップも、
人種差別がはっきりと描写されていたが、本作の劇中では黒人の社会的地位や人種差別に言及される場面は一つも無く、
黒人と白人は完全にフラットな関係として描写される。
現実と映画のギャップは定かではないものの、アメリカの社会が変わってきたという空気は感じることができる。

あるいは(邪推すると)脚本家の世界で、既に多様性の圧力が始まり、差別的な表現を描くことが忌避されるようなってきたのかもしれない。

いずれにせよ時代が変わった、ということだけははっきりと感じ取れる
そういう時代の境界に位置する、貴重な位置付けの1本。

メル・ギブソンのガンギマってる怪演にも注目。
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