垂直落下式サミング

バイオレント・ナイトの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
4.5
悪い子に「脳天潰し」をお見舞い!弾くポップコーン!聖夜にバチコーン!サンタのガタイがいいのは、ぶっ殺すためなんだよ。知ってた?
男の子は、○○専用武器みたいなのに強い憧れがある。本多忠勝の蜻蛉切り、孫悟空の如意金箍棒、再不斬の首切り包丁、用途や逸話がそのまんま名前になってるとなおよい。それでいて、ずっと昔から存在するけど、長い歴史のなかで使いこなせたのはこいつだけ!みたいなノリだと、さらにステキだ。脳天潰し!ネーミングは完璧!
老いぼれたサンタが子供のために戦いを決意するところも素敵だし、その正体が古代神話のなんか強いヤツらしいってのも、現代人ども舐めるなよ!って感じがして好き。
子供も可愛かったです。オトナの顔色うかがってる子供っていうシチュエーションに弱いので、終止いいゾクゾクを感じながら鑑賞。夫婦なかが悪いのを敏感に感じとっている故に、二人の前で必要以上に子供っぽく振る舞う様子が不憫で、不憫で。この子の環境がどうにかしていいものになってほしいと思いながら観ていたら、サンタの血と金とを引き換えに、家族の憎しみは解消されたようで安心。道徳的なお話だったと思う。



【※メモ】


仕事の休憩中に、課長から「お前、今年なんか映画みた?面白いの。」と例によって雑く絡まれたから、この映画のあらすじを言ったんだけど、そのときの会話がちょっとおもしろかった。

ぼく「アクション映画で、サンタが女の子へのプレゼントを届けにお金持ちのお屋敷にいくんですけど、そこに武装した強盗が入ってきて、ビックリしてトナカイがソリと一緒に空飛んで逃げちゃうんですよ。そんで戦うことになって…」
課長「えっ、ちょっと待って、ホントのサンタなの?」

僕は最初から「サンタが」って言ってるのに、聞いてた課長はホントのサンタじゃなく「サンタの仮装をしたおじさん」に変換して解釈していた。ちゃんと伝えるのって難しいんだなって。
こんな会話、いつもだったらお互いの認識がずれたままスルーされていくのだけど、ここでは会話のすれ違いの瞬間に即座に立ち会って、間違って伝わっているところを修正できたから、俺ちゃんとコミュニケーションしてんなってちょっと自信が出てきて、その日はいい気分でめくら判押させることができました。
でも、クリスマスのサンタは大概においてホンモノじゃないんだって、そんな常識が一般化してる世界はいやだなあ。僕らの世界から夢がなくなって久しい。50代のおっさんだってサンタ信じてるような世界でいてほしいな。