爆裂BOX

バイオレント・ナイトの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
4.5
「処刑山」シリーズや「ヘンゼル&グレーテル」のトミー・ウィルコラ監督によるちょっとファンタジー要素のあるバイオレンスアクションです。
物欲主義な子供達に嫌気がさし、すっかりやさぐれて飲んだくれるサンタクロースが、とある富豪ファミリーの豪邸に煙突から入るも、そこに金庫に眠る3億ドルの現金を狙ったスクルージ―率いる武装強盗団が現れて家族は人質に。厄介事に巻き込まれたくないとサンタはプレゼントだけおいて立ち去ろうとするも、サンタを信じ続ける少女トルーディとトランシーバーでやり取りしたことから、彼女を救うため強盗達に立ち向かう決意をするというストーリーになっています。
サンタ版「ダイ・ハード」か「ホームアローン」という感じの映画ですが、殺人サンタじゃなくサンタがヒーローのバイオレンスアクションというのはなんか新鮮に感じました(ある意味殺人サンタではあるけど)
主人公のサンタは冒頭から飲んだくれて橇の上からゲロ吐いたり立ちションしたりと大分やさぐれてますが、デヴィッド・ハーバーのコワモテとブヨブヨ弛んだ体がハマってましたね。公式の粗筋では戦闘能力ゼロと書いてますけど、確かに最初は苦戦してボコボコにされたりするけど、覚醒前から肉弾戦でもそれなりに戦えてはいるんですよね。その理由も後にサンタの口から語られますが、あそこからサンタになるまでの話も見てみたいですね。サンタらしく魔法使いますが、それも鼻触ると煙突から煙のように移動できるというもので、およそ戦闘向きではないものです。しかもテンパったらできなくなるという。トナカイ軍団が銃撃に驚いてアッサリサンタ置いていく所は笑ってしまいました。
両親にサンタはいないと言われてもサンタを信じ続ける少女トルーディも動物に優しいいい子ですが、笑顔で「ケツの穴」とか言ったり、「ホームアローン」に影響受けて結構エグめなトラップニコニコしながら強盗達に仕掛ける所イイキャラでした。
最初の強盗達とのその場にあるものや、四次元ポケットみたいなプレゼント袋の中にあるプレゼントを使った格闘戦は楽しくて見応えありました。前述したように結構サンタもボコボコにされるのが適度に緊張感生んでいたと思います。
物置小屋でハンマーを見つけてかつての戦士として覚醒してからの傭兵集団をノリノリで血祭りにあげていく所も楽しかったですね。ハンマーで頭部を叩き割るだけじゃなくスケート靴使って切り刻んたり首チョンパしたり、キャンディ棒で突き刺しまくったり芝刈り機で頭切り刻んだりする残虐攻撃も監督らしくて良いですね。最初の方でもクリスマスの飾り目に突き刺して電流流して感電させて頭部燃え上がらせたりと結構グロ描写盛り込まれてますが、流石にメジャーだからか「処刑山」ほど振り切ったグロではなかったな。それでも「ヘンゼル&グレーテル」ぐらいはありましたね。
敵となる武装強盗団がクリスマスにまつわるコードネームで呼び合ってるのも面白い。スタンとしてる人が演じてるから戦闘シーンでの動きも良いですね。でも、そこまでキャラ立ってる人いなかった気もしますね。ブレンダン・フレッチャーは荒っぽいサイコパスっぽいキャラだったけど、そこまで目立ってもなかったか。ジンジャーブレットとキャンディ・ケーンの二人は最初冷酷そうな感じだったけど割とすぐサンタの存在信じ始めたり、トルーディの罠にはまる「ホームアローン」の泥棒みたいなギャップが面白かったですね。強盗団の人数少ないなと思ってたら途中増援が来るのはちょっとテンション上がりました。
ジョン・レグイザモ演じるボスのスクルージはクリスマスのせいで人生が狂ったとクリスマスに恨みを持つ設定で、最後に本物のサンタと分っても尚更クリスマスを永遠に終わらせるために殺そうと戦いを挑む所下手に改心したりしなくて良かったですね。しかも結構強いし(まあ、サンタも連戦続きでヘロヘロだったのが大きいけど)最後に戦闘向きじゃない魔法使ってエグい攻撃で決着つける所も良いですね。
富豪で大会社の社長のクリスマスパーティに集まった親戚ファミリーは、トルーディの両親以外 実は父親も結構なやらかししてると分かるけど)割とろくでもないアレな人ばかりですが、それでもこの騒動の中で協力して戦って家族の結束が出来ていく所は微笑ましくて良いですね。家族の血から合わせての共同作業が強盗ぶっ殺す所なのもブラックでイイね。ユーチューバーの息子はもっとギャグに活かせたきはしますね。
バイオレンスシーン多めながらも、クリスマスにすっかり希望もやる気も失ってたサンタがかつて自分の贈ったプレゼントで救われたトルーディの思いを聞いて救われる所や、戦いの中で崩壊しかけていた夫婦の絆取り戻す所や最後に家族一丸となってクリスマスとサンタを信じてサンタが救われる展開など最後にほっこりクリスマス映画となっている所も素晴らしいですね。
未公開シーンにあった社長の母が息子に告げる言葉や序盤でチラッと出た娘ほったらかして飲んだくれて寝てる父親の前に現れる所は本編に使っても良かった気はするなぁ。
エグめのバイオレンスアクションとほっこりクリスマス成分とが合わさって終始楽しいバイオレンスクリスマス映画でした。即篇も決定したようだけど「処刑山」の三作目も見てみたいなぁ…