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アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~のmaverickのレビュー・感想・評価

4.3
2024年のアメリカ映画。Amazon Prime Videoオリジナル作品。主演はアン・ハサウェイ。監督は『タミー・フェイの瞳』のマイケル・ショウォルター。


アン・ハサウェイがめちゃくちゃ可愛い。40歳のシングルマザーが、人気ボーイズバンドのリードボーカルと夢のような恋愛を体験するというシンデレラストーリー。アン・ハサウェイの容姿ならそりゃ実現出来るでしょと思うのだが、オーラを消して役柄を見事に表現した彼女の演技によって物語にも説得力が生まれている。フェスのステージでうっとりと彼を見つめる姿なんて一般人のファンそのもの。超有名人との恋に年甲斐もなく浮かれる彼女がとても可愛らしい。相手は26歳も年下。大幅な年齢差と、超有名人と一般人との恋愛の障害について描かれるのも本作の肝。マスコミの度を越した張り付きやSNSなどのネット上での中傷など、社会の在り方や一人一人の人間性を考えさせられる部分も大きい。アン・ハサウェイの演技は、そうした中での主人公の心の揺れ動きをリアルに感じさせる見事なもの。少女漫画のような夢物語な話だが、そこにリアルな大人の恋愛模様を見せ、人間ドラマとして深みを持たせている。ロマンチックな演出の数々も含め、魅力たっぷりで心に刺さる良質な作品である。

人気ボーイズバンド「オーガスト・ムーン」のリードボーカルに扮し、アン・ハサウェイ演じるソレーヌを魅了するのは2021年のAmazon Prime Video映画『シンデレラ』で王子を演じたニコラス・ガリツィン。人気アーティストの説得力は十分。本作でさらなるファンを獲得するだろう。架空のボーイズバンド「オーガスト・ムーン」の作り込みも見事なもの。劇中の楽曲、パフォーマンスは人気アーティストとして違和感ゼロ。完成度も高く、実在の人気グループがそのまま出演していると錯覚してしまうほどだ。サントラが欲しくなる。

夢物語のような話ではあるが、現実に無いとも言い切れない。どこでこういう出会いがあるか分からない。その上で、実際にそうなったらどうだろうというのをリアルに描いてある。だからこそ共感が得られる。この二人の問題も、誰もが直面するようなことだったりする。有名アーティストと一般人との恋だからとか、40歳のシングルマザーと26歳年下の若い男との恋だからとかに限らない問題。恋愛問題だけでもなく、生きていく上で誰もが抱える問題だったりもする。だから本作をリアルに感じるのだ。そしてリアルだけにも留めず、ロマンチックな夢物語としても共存させている。現実は残酷。ではなく、こんな夢物語が現実にもあり得るという話に仕上げてある。だから人生は素敵なんだと、そう思える話で大好きだ。


Amazon Prime Video映画の気合のほどがうかがえる。想像以上に良作であった。アン・ハサウェイはリアルでも40を迎えたわけだが、大人の女性としてどんどん魅力的になってゆく。女優としても磨きがかかってさらに好きになった。鑑賞して正解。満足だ。
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