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柔道龍虎房 4Kの空間のレビュー・感想・評価

柔道龍虎房 4K(2004年製作の映画)
4.8
青春モノ的な爽やかさがありつつ、シュールな笑いと洒落た雰囲気もあるすごくいい映画だった。

大家のおばちゃんに追い出されながらも立ったまま平然とラーメンを啜るシウモンが可愛すぎる。ああいう大胆不敵なキャラクターはどんな作品でもすごく好き。

酒を飲まされてヘラヘラしたり酔って倒れたりすっ転んだりする若いルイス・クーも危なっかしくてかわいい。ルイス・クー出演作品は今まで黒社会モノしか見たことがなかったが、こういう演技もできるのだということ、そしてその役がバチっとハマっているという部分にルイス・クーの役者としての真の実力を感じた。

柔道が楽しくてしょうがないと言わんばかりの輝く笑顔で試合に臨むトニー(アーロン・クォック)も見ていて気持ちがいい。ヤクザっぽいおじさんも年寄りも、柔道をしている最中はみんな平等な立場になるという風に描かれているところが良かった。

シト・ポウが柔道を辞めた理由ははっきりとは語られないが、トニーのある嘘がきっかけでその原因が示唆される。「まさかね…」が「やっぱりそうか!」になるのは作品終盤だが、そのせいで色々なシーンが持つ意味が変わってしまい、鑑賞後にものすごい余韻を残す。よく転ぶのも、夜道で靴をうまく履けなかったのも、木の枝に引っかかった風船に向けて投げたペットボトルの的がだいぶ外れていたのも、柔道場で電気を付けたり消したりしてなにかを確かめるようにしていたのも、もしかしてそういうことなのか!?と思うとすごく切ない。ルイス・クーが近々目の手術をするという最近のニュースも相まってちょうど現実とリンクしてしまい、不安感が増した。

すぐに「飲茶だ。」と言っていなくなるヤクザで笑った。着ぐるみを着ているルイス・クーを見たい方にもおすすめです。
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