リンコロシネマ

森の中のレストランのリンコロシネマのレビュー・感想・評価

森の中のレストラン(2022年製作の映画)
3.8
食べることは生きること…なのだが、この映画の舞台となっているレストランはその逆。森の中にポツンと佇んでいるレストランは三つ星レストランのシェフが営んでいる「美味しい」と話題のレストラン。ここは自殺志願者が最後の晩餐にやってくることでも有名だった。

なんだか筒井康隆の小説にありそうなストーリーだしマルチェロ・マストロヤンニが出てた『最後の晩餐』という映画も思い出した。

最後の晩餐…せめて死ぬ前の最後の食事は美味しいものを…と思う気持ちも分からないではない。でもねぇ生きていれば美味しいものを食べられると思いとどまることだってあるかも…などと思って観ていたが畑芽育ちゃん演ずる少女・紗耶が現れてそんな思いも吹き飛んだ。

その少女は父親からDVを受けていた。そして母も父のDVの被害者。この父親がふるう暴力描写が何とも言えず胸糞の悪いシーンだった。。。映画のワンシーンとはいえ、この世の中には本当にこんな被害を受けている人もいるのだろう。親に愛され育てられた私には信じられないが。

紗耶のように生きていることへの希望など何もない人だっているのだね。

そんな紗耶と父親&母親とシェフとレストランのオーナーと愛犬と村人が紡ぐ物語は…これ以上はネタバレになるのでここまで。

シェフを務める主役の船ヶ山哲さんという方は存じ上げなかったけど株式会社REMSLILA代表取締役でありラジオパーソナリティーでもあるらしい。役柄上仕方ないけど「ボソボソ喋っていて台詞が聴き取りにくい」という意見が多い。まぁ俺はドラマの雰囲気で大体分かったから問題なかったけど。

コント赤信号の小宮孝泰さんがとても良い役者さんになっていてビックリ!舞台でも活躍していた実力は本物です!

《あらすじ》
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思いつめた表情で森の中を歩いていた京一(船ヶ山哲)は、木の枝にロープをかけて自殺を図るが失敗し、気絶したところをこの森の猟師・欣二(小宮孝泰)に助けられる。それから数年後、京一は欣二の所有していたレストランを任され働いていた。そのレストランは人里離れた森の中にありながら三ツ星フレンチの名店で腕を磨いた京一の料理が評判になっており、遠方からのお客さんも来た。その一方で、この森で命を絶とうとする人が最後の晩餐を求めてやって来るという噂があった。そんなある日、絶望を抱えた少女・紗耶(畑芽育)が森にやってきて……。
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