劇場のチラシを見て“絶対に観る!”と決めていた作品。かなり専門的(マニアック)な映画なので“どんな人が観にくるのだろう?”と思って劇場に入っていったら3連休初日にもかかわらず案の定、場内は私1人だけでした。
リュミエールの名前は以前から知ってはいたけど作品を鑑賞する機会に恵まれなかったので今回が初体験。
リュミエールとはオーギュスト・リュミエールとルイ・リュミエールの兄弟。2人はエジソンが発明したキネトスコープ(箱の中に映し出される映像を観る=1人しか観ることができない)を改良してスクリーンに投影することにより大勢の人が観ることができるシネマトグラフを開発したことで知られ現在では「映画の父」と呼ばれている。
シネマトグラフは50秒の映像を撮影・映写することができた。『リュミエール!リュミエール!』はシネマトグラフによる50秒の映像をティエリー・フィルモ監督のナレーション付きで100本余り観ることができる。
これら作品は19世紀の終わり頃に撮影されたので当然のことながらモノクロでありCGによるVFXなどない時代だし、なんならパンやズームといった手法もなかったのかな?なので登場する映画のほとんどは固定カメラによる映像。
アングル(カメラの角度)やショット(画面の構図)が命。リュミエールは多くのカメラマンを育成し世界全国に派遣して撮影させたのだが、ひとりひとりのアングルに個性があり非常に芸術性に富んでいる。それはまるで1枚の絵画を鑑賞するような感覚に似ている。
当時の日本(明治)も撮影されておりその映像が映し出されるのだが畳の生活だった日本の映像はその後の小津安二郎のローアングルのヒントにもなっていると思われる。
1895年に世界で初めて公開された『工場の出口』は工場から出てくる人や自転車の映像を50秒間投影されたものであるが今の時代では“それだけ?”と言われてしまうかもだけど当時の人は吃驚したであろう姿が容易に想像できる。そしてリュミエールもまた商業と芸術という狭間に苦悩していたのだろうことも…
これから映画を学ぼうという人には必見の作品かと思われます。
前作『リュミエール』がU-NEXTで見放題になっているようなのでこれは観なければ!