深獣九

夏バテ女の深獣九のレビュー・感想・評価

夏バテ女(2022年製作の映画)
3.5
耳をつんざく蝉の声と、白トビでビッカビカの映像から夏がビンビン伝わってくる! 暑い!
「夏の恐ろしさを外国人に伝えたかった」との監督の思いは成功したのだろうか。夏の外国人観光客が減っても困るが。

本作の見所は、主人公の女性が寄生虫妄想に取り憑かれ、体をぶちぶち破壊するところ。なんと蝉が体内にいると思っているのだ。ワームやG、寄生虫に潜り込まれている人はよく見かけるのだが(映画でね)、セミは珍しい。血しぶきをあげながら、体のあちこちからピンセットでセミのかけらをつまみ出すシーンは必見。痛々しくて眉をひそめてしまうほど。

セミを寄生させた犯人は、虫取り網とセミの入った虫かごをぶら下げている汗だくの男。主人公の働いている喫茶店に現れ、コーヒーを飲みながら虫かごのセミに餌を与える。この餌も気持ち悪い。異様な風体に主人公は、同僚と陰口を叩き笑いものにする。そんなことするから狙われちゃうのだよ。ホラー映画のお約束。

そしてラストには衝撃の展開が待ち受けるという。
このラストは賛否あるだろう。私は大好き。
だが、思ってた方向とちがったので少し残念でもある。予算の都合もあるのだろうが、ぜんぶグチャドロにしてほしかったな。

実はこちら、阿佐ヶ谷ロフトAで開催されたイベントを配信で観たもの。上映のあとは監督のトークショーがあった。
監督は「狂った女を描くのが好き」で「女の精神状態が落ちてゆく(壊れてゆく)のを見せたかった」そうだ。「自分が観るのも好き」というから筋金入りだ。
クライマックス、セミを食べるシーンからの怒涛の展開は、監督の思いであふれかえっている。こちらも、もっともっと観たいという気になってくる。
次回作も楽しみだ。

次回作といえば、主人公の部屋に流れるラジオから聴こえるDJの「なんか(スタジオに)蚊が入ってきたみたいやわぁ」というセリフは、後半の伏線であると同時に次回作の伏線でもあるのではないか? というのはうがち過ぎか?😊







セミ男いいよセミ男ステキだよ😍


でもね、セミの腹って空っぽなんだよね。そこも再現してたら完璧でした😊
深獣九

深獣九