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アトラスのRのネタバレレビュー・内容・結末

アトラス(2024年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

車内で。

2024年のアメリカの作品。

監督は「ランペイジ 巨獣大乱闘」のブラッド・ペイトン。

あらすじ

AIが人間の世界に溶け込み、社会に欠かせない存在となった近未来。過去の出来事からAIを信用できなくなった優秀な分析官のアトラス(ジェニファー・ロペス「グレイテスト・ラブストーリー・ネバー・トールド」)は人類に反旗を翻したAIロボットのハーラン(シム・リウ「ジャックポット!」)を捕らえるミッションの最中、アクシデントが発生し、ある惑星に不時着してしまう。1人残されたアトラスが唯一生き残る道はAIの「スミス」を信用してして手を組むことだった。

Netflixで配信されて、面白そうだったので鑑賞。

お話はあらすじの通り、昨今グッとテクノロジーが発展していく現代社会の中でフィクションから現実味を帯びてきた「AIの反乱」を描いた内容となっているんだけど、面白いのがそんなAIとの戦いを描きながらも、そんな本作の主人公で、タイトルにも冠されたアトラスがAI嫌いのキャラクターという点。

そして、そんなアトラスを演じるのが本作の製作も務めるジェニファー・ロペス。ちょいと前は長きに渡るキャリア低迷のイメージがあったが、最近では主演作「ハスラーズ」で見事なポールダンスを披露して再評価されたり、かと思えば、元彼のベンアフと最近復縁(その後、現在はスピード離婚笑)したりと大女優に相応しい波瀾万丈な人生を送り続ける女優さんなわけなんだけど、そんな彼女が演じるアトラスは流石自身でプロデュースしているだけあってかなりハマり役、かつ主人公像としても新鮮!

上記のように、このアトラス、過去の悲しい生い立ちからAIというか「相手との分かち合い」の仕方がわからないというバックボーンを持っているんだけど、そのせいで任務のためにスターリング・K・ブラウン(「アメリカン・フィクション」)演じる大佐の部隊に加入した時も他の隊員と交わらず、まさに孤高の存在。

そして、それが特に顕著に現れるのが戦闘型ロボットのAI「スミス」とのシーン。はじめは亡き母の死に関係するAIハーラン(「シャンチー」のシム・リウの悪役がまた新鮮!)との過去のせいで、スミスに対して特に辛く当たっていて、神経リンクをしなければまともに同調して動けない状況下でも頑なにそれを拒んだり、渋々一緒に行動した際も独自の判断で暴走、何度も自身と行動を共にするスミスまでも危険に晒してしまう。

だから、何つーか、どことなく漂う更年期感笑。やたらと喚いたり、ヒステリックにパニックになる様がまさにそれで、それを機械ながら冷静に(時にコミカルに)宥めようとするスミスの感じと相まって、ここは実年齢55歳のジェニロペ、あえての役作りなのかな?

だとしたら、大成功。このせいで序盤はかなりイライラしながら観ていたのが正直なところ。ただ、そこから徐々にスミスとの「信頼関係の構築」のターンに入っていくと引き込まれていく。特に中盤、上記のアトラスの暴走のせいでスミスに搭乗したまま地盤深くに生き埋めになって身動きがとれなくなっちゃうんだけど、そこでアトラスが足を負傷してしまい、緊急手術をしなければならないというシーンでスミスがここもやたら機械的に、かつスピーディーに足を切開して、鉄のプレートを装着して…と医療的処置を施し、「頑張ったご褒美」的になんか角砂糖みたいな栄養素の塊をあげちゃうアフターサービスつき。そのホスピタリティに思わずそれまでの固さが少し抜けちゃうアトラスにほっこり。

で、そこら辺でキーとなってくるのが「神経リンク」。耳の後ろに取り付ける未来型機器なんだけど、要はそれを神経に繋げることで戦闘ロボットとリンクしてシンクロ率を上げることで性能的に格段にパワーアップできる代物なんだけど、やはり、これも憎むべきAIとリンクすることなんかできないとはじめは拒むアトラスなんだけど、地中から脱出するためにリンクすることに。ただ、その段階である程度はリンクできるんだけど、100パーでリンクさせるためにはアトラスの記憶をスミスと共有しなければならないことがわかってくる。で、まさにアトラスとスミスとの信頼度のパロメーターそのままに関係性の構築と共に60パー、80パーと上がっていくんだけど、終盤、宿敵ハーランに囚われて離れ離れになった際に、遂に100%完璧に同調した際は遠くからスミスが駆けつけて、その場にあった銃器武器を戦闘で壊れまくったスミスに装着、まるで「ドラクエ」の「まおうのつかい」みたいなゴリゴリの殺戮マシン化して敵をバッタバッタと倒していく様がとにかく痛快過ぎた!!

また、この段階になっていくとハーランとのラストバトルもめちゃくちゃSFかつバトルアクションしてて、手のひらからブレードを出したハーランがそのブレードを「BLEACH」の蛇尾丸みたいな鞭状に形態変化させて戦うのに対して、四つ腕で対抗して「瞬間、心重ねて」的にハーランの裏をかいてトドメを刺すところとかめちゃくちゃかっこよかったなぁ。

そして、ラストバトル後、AIとしての意識が失われるスミスに対して、それまでの「好きなものに対する質問」を片っ端から答えて感謝を述べるアトラスに対して「どういたしまして、レンジャー」と最後まで誠実に応答したまま消えていくクライマックスとかまぁ王道ながらグッときたなぁ。

まぁラストの「でしょうね!」的なハッピーエンドもまぁこの手の作品においてはありがちな感じながら、まぁ良いんじゃないでしょうか。

なんつーか、Netflix版「ベイマックス(スミスの吹き替えも川島得愛さんだったので吹き替えスタッフ的にも作為的?)」って感じのある作品ながら、更年期おばさんとAIロボットのバディものとしても割と面白く観れた作品でした。
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