ビンさん

泥の子と狭い家の物語のビンさんのレビュー・感想・評価

泥の子と狭い家の物語(2022年製作の映画)
3.0
第七藝術劇場にて鑑賞。

元々舞台作品だった原作を映画化。
その前にNHKの「青春アドベンチャー」でもラジオドラマ化されたという。
「青春アドベンチャー」って、まだ放送続いてたんだね。
僕が高校生の頃、よく聴いていたものだった。という話はともかく。

監督さんも出演されている俳優さんも、失礼ながら田中美里さん以外は存じ上げなかったが、劇場に置かれていたチラシで、ヒロインの少女がバットを掲げているビジュアルが、ちょうどその頃に感銘受けていた他の作品のヒロインと共通しており、今はバット掲げた少女がトレンディなのか、と思いつつ興味を引いたというわけだ。

ヒロインの小豆(織田ひまり)は、父と母とお婆ちゃんの4人暮らし。
姉がいたが数年前に亡くなっている。
4人が暮らすには多少狭い状況であり、そんな日常への不満をノートに書いて憂さ晴らししている小豆だった。

ある日、小豆の家に加賀美という鍼灸師が、お婆ちゃんの介護にやってくる。
この加賀美、父も母もたやすく洗脳してしまうと、家に居座ってしまう恐ろしい人物。
そして、加賀美の暴走はエスカレート。
はたして小豆の運命や如何に‼️

じつに奇妙な味わいのある作品で、まず関西が舞台なので、出演者すべて関西弁というのが嬉しい。
で、ここに登場する加賀美、演じるのは元タカラジェンヌの月丘七央さん。
このキャラに対し、明確な答えを出さないところが、本作のオリジナリティな部分かと思う。

この加賀美から如何にして小豆は家族を守るのか、ドメスティックな内容であり、ファンタジックでもある本作、そこから導き出せる要素は多種多様だが、テーマとして筋が一本しっかり通っているので、最後には感動も呼び起こす作品に仕上がっていた。

本作における資料は、パンフが作られていないので、チラシくらいしかなかったのだが、監督の西岡眞博氏は多くのCFを撮ってこられたようで、本作が長編デビューである。

小豆を演じた織田ひまりさんは、既にNHKのTVで活躍されている、スターダストプロモーション期待の新星とのこと。
ちなみに僕と誕生日は1日違いである、なんて情報は不要か(笑)

ほぼ前宣伝もなく、舞台挨拶の場にて、小さな作品、小さな作品とおっしゃっていたが(その割に初日2日目、場内満員というのが不思議(笑) 普段、ナナゲイに来られたことが無かった客層の方も多く見受けられたのはいったい・・・)、小さな作品ではあるけれど、そこに秘められらたものは大きい。

作品の真価が問われるのは、作品が一人立して、多くの方の目に触れらてから。
今後、この作品がどのように成長していくかが楽しみだ。
ビンさん

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