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福田村事件のメッシのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.5
関東大震災直後の千葉県福田村で起きた集団殺人事件をベースにした話。

森達也、初の劇映画監督にして森達也監督最高傑作になりそうなくらい素晴らしかった。

常々監督がテーマとしている集団の暴走、被差別部落、外国人差別、デマ、ジャーナリズムなどの問題点に対する監督自身の思いがビシビシ伝わってくる。

これだけ盛りだくさんだと各々薄まりそうだか、さにあらず、そこに凄みを感じた。

その一助になっているのが役者達の魂がこもった演技だろう。

東出昌大、アラタ、田中麗奈、博士、豊原功補に瑛太、柄本明、カトウシンスケなどなど。
錚々たるメンバーで必然と出番が限られるはずなのに、一挙手一投足に魂がこもってるので薄味どころか濃厚。

役者それぞれが監督の意図を完璧に汲み取って迫真の演技をしているので、伝わる。そして演出が卓越していたのだろうと想像がつく。

センセーショナルな事件部は終盤にやってくるが、そこまでの人物描写が素晴らしく、深みが出ていてかなり効果的に感じた。

またキャスティングも東出に正義感はあるが間男を演じさせたり、そもそも豊原功補をキャスティングしたり気迫が違いました。

こういうテーマだとドキュメンタリーのイメージで、劇映画だとどうしても没入感は少ない印象だったけど、上記の理由から月並みに言うとリアリティがすごかった。

瑛太の「朝鮮人なら殺してもいいのか!」という叫びに心を打たれた。

森達也監督の劇映画第二弾に大期待。もちろんドキュメンタリーも期待。
これを機に世界的な監督になってほしい。
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