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福田村事件のmayuのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
4.2
100年前に実際にあった事件「福田村事件」を鑑賞。関東大震災後に起きた千葉県福田村での日本人虐殺の事件。全く知らなかった。

人が群れると生まれる全体主義。
同調圧力が生まれて行き過ぎた行動に至るプロセス。
強い権力や勢力を持った人につき、長いものに巻かれる群集心理と、そこからはみ出し孤立する焦燥感。
人間は自分勝手、最後は自分さえ良ければいいと考える生き物。
人間の本質はなんら変わってない。

その場に自分がいたらどうしただろうと、自分と向き合い続けた2時間だった。

様々な不祥事や事件が今年だけでも多数起きている。差別やいじめ事件も日常的に果てしなく起きている。声の大きい強い者に思考停止でついていくだけじゃ、組織も人間も成長しない。

人間は忘れていく生き物。
だから日々学び続ける必要がある。
思考停止せず、
自分の心でものを見て、自分なりに考える。

今を生きる私たちは、差別や忖度の暴走、デマ拡散が今も存在している事実に向き合うとともに、常に正しい知識を学ぶことで、一人ひとりが「差別をしない・させない・許さない」という強い気持ちを持ち、「事実とは」「正しい行いとは」を考え抜き、次世代のために行動することが求められていると思う。

遺族の方のコメントでも
「事件当時と今に漂う空気は何ら変わっていない。虐殺をさせたデマや流言を直視しなければいけない。悲劇を繰り返さないよう差別のない社会をつくることが供養につながると信じている」
とあった。まさにそう感じる。

「人の世に熱あれ、人間に光あれ。」
(映画にでてくる水平社宣言。結びの一文より。)
人間を尊敬することにより、人の世に光明をもたらそうとする願いがこめられている。

俳優陣の演技は本当に見事でした。
たたずまいや目力で語ってきます。
この事件を風化させてはならないという、熱い思いを感じました。
まだの方はぜひ映画館で観てください!
mayu

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