なお

福田村事件のなおのレビュー・感想・評価

福田村事件(2023年製作の映画)
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我が身を顧みず、憎しみで目が曇って事実をきちんと見極められない。闇雲に憎悪を撒き散らす。そうなってしまった人間の愚かさを知った。撒き散らされた憎悪はウイルスとの如く人々に広がっていって、狂気を生み、最後には全てを壊すのだと思った。
あの狂気と悲劇は、日常の延長線にあって、決して遠いものではないと思った。

殺すという手段を一度でも採ってしまったら、もうダメなんだ。
どんな理由があっても、誰がが誰かを殺したら、それが許されてしまったら、ああもういっか、と誰もが武器を手に取ってしまう。目の前の人をよく知らないのに、わけのわからない憎悪で殺してしまう。
自分が何をしたのかは、終わってから気づく。それがどんなに恐ろしいことか。
憎悪は思いもよらぬところへ広がって、無関係の人まで犠牲になる。全てを破壊する。もはやそこに正義も悪もない。残るのは新しい憎悪だけだ。
戦争はこうやって広がっていくのだと思った。

殺された人にも、ちゃんと名前があって家族がいて、未来があった。
それは一体、何のために失われたのだろうか。そう思うと、戦争って何の意味があるのだろうかと思う。
誰かに向けるヘイト。それはなぜ生まれるのか、それをしっかりと見極めないといけない。
憎しみで目が曇っていないか?
怒りで我を失っていないか?
なぜあなたは怒っているのか?
その人は本当に憎むべき相手なのか?
自分の憎悪は全く別のことが原因で、ただの八つ当たりなのではないか?
何かに対して憎悪を抱いた時ほど、
なぜ、と立ち返る冷静さが本当に必要だと思った。

異なるものを前にした時、なぜ拒絶するのか?
それは、本当にあなたに危害を加えるのか?
よく知らないのに、偏見で過剰防衛していないか?
どんな人でも、曇りなき眼でしっかりと見つめ、知ることからはじめなければならない、根拠のない拒絶は、乗り越えなければならない、と思った。
なお

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