ゆ

福田村事件のゆのネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

【自分用】
初1人映画
嗚咽しながら観た。


ポストコロニアルの授業で先生がおすすめしてて、発表題材も必要だったし、俳優さんが良すぎて絶対観ようと決めていた。


戦争、小さな村、ずっと村に住んでいる人たち、日本の外に出て生活していた人たち、日本が他の国の人に何をしてきたのかを見てきた人、村の外からやってきた人たち、千葉日日新聞の人たち、朝鮮人迫害、朝鮮人虐殺、関東大震災、震災による混乱、暴力、偏見、差別、無知、それぞれの正義


「震災に混乱に紛れて朝鮮人が工場に火をつけたたしい」
「危険な朝鮮人から村を守らなくては!」
「お前ら見ない顔だな、なんだその言葉は、鮮人じゃねえのか?」
「十五円五十銭と言え」
「日本の歴代天皇を言え」
「きっと練習して言えただけだ」
「お前ら鮮人だろ!」「殺してしまえ!」
「待て、今駐在が彼らが日本人かどうか確認しに行ってるところだから。」
激しくなる口論、高まる緊張感。




日本人からの差別に遭ってきた香川の行商人、被差別部落の人たち。震災前、まだ朝鮮人が村で慎ましく暮らしていた時、行商団は朝鮮人から飴を買った。朝鮮人はその時行商団に暑いからと朝鮮の伝統的な扇子を渡してくれた。その扇子を持っていたことで、村に人々の疑いは確信に変わった。


「鮮人だったら殺してもええんか?」


日本が朝鮮で朝鮮人虐殺をしたことを知っていた澤田とその妻は必死で村人を止める。


行商人たちは、言葉の訛りが福田村の人たちには馴染みが無く、朝鮮人と間違われ殺されてしまった。
最初に殺されたのは行商人のリーダー、殺したのは村の外で働く旦那が朝鮮人に殺されたと勘違いして絶望していた若い女性だった。子を背中に背負いながら包丁を突き刺すシーンは、本当に苦しくて目を背けたかった。
9人が殺されたところで、駐在が戻ってくる。
「こいつら日本人だよ!間違いねえ!まさか、殺してないよな?」

村人たちは“危険な”朝鮮人から村を守りたいだけだった。帰ってきた旦那、崩れ落ちる妻。呆然とする村長。「国を守りたかっただけなのに」泣き崩れる在郷軍人。


これは決して戦時下でしか起こらないことではなく、今を生きるわたしたちにも容易に起こりうること。というかもう起きていることだと思った。観てよかった作品。
ゆ