いずぼぺ

ロスト・キング 500年越しの運命のいずぼぺのレビュー・感想・評価

3.7
本当にそんな人だったのかしら?

リチャード3世は甥のヨーク朝イングランド国王エドワード5世とその弟君をロンドン塔に幽閉し、王位を簒奪した悪役としてシェイクスピアに描かれている。
実際、幽閉もしてるしその後誰もエドワード5世と弟君を見たものがいないのも事実のようだ。(ドラローシュの絵画がドラマチックにその時を描いている)
イギリス人的嫌いな歴史上の人物上位の゙リチャード3世とヒョンな出会いをしたフツーのワーキングママの゙フィリッパ。フツーでもないか。元夫の開けっぴろげな出会い系活動や思春期に差し掛かってる息子、まだまだ幼い息子、クソ上司、ストレス溜まると出てくる難病の発作。経済問題。ひっくるめてパンクしそうなフィリッパ。いや、パンクしちゃったフィリッパ。仕事辞めてリチャード3世(遺体)探しに奔走。
経歴観ても、フツーのワーキングママだった。そりゃ、アカデミアの皆さんにはけちょんけちょんに扱われただろうなー。
奇しくも、別れた夫に励まされてエンパワメントしていく姿が力強い。
歴史ミステリーだけなら配信でみても良かったかも。でも、サリー・ホーキンスがさえない中年女子(子持ちバツイチ)のエンパワメントストーリーを瑞々しく演じてくれたおかげで映画としてのランクが上がった感じがするのよ。あと名前だけでてくるカンバーバッチね。(カンバーバッチもリチャード3世の血縁らしいね)

歴史は勝者によって書かれる。
チューダー朝ヘンリー7世も強力なヴィランが欲しかっただろうね。チューダー朝はウェールズの何世紀にも渡る血塗られた悲願による即位だしね。いやー、英国史は面白い。

で、主人公フィリッパラングレーさんはリチャード3世を駐車場で見つけたことでエリザベス2世から勲章をいただき正当に評価されました。良かった良かった!
いまはヘンリー1世を探しているとか。
楽しみだなぁ!
8-6