つるつるの壺

機動戦士ガンダムSEED FREEDOMのつるつるの壺のネタバレレビュー・内容・結末

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

前半は真面目なSEEDテイストで展開し、後半はまさかのGガン。誰がこんなものを想像しただろうか。

製作サイドに対して様々な憶測が飛び交い、主演声優は叩かれたりと様々な怨念を纏っていたSEEDシリーズの憑き物が今作で落ちたような気がする。製作サイドにとってもファンにとっても20年という歳月は必要だったのかもしれない。

デスティニープランを否定した先の世界を提示できず終わらない戦いに煩悶して袋小路に入ったキラが投げやりになってアスランに張り倒されるシーンが一番印象に残った。一人で全て抱え込み、お前らが弱いから俺が全部やるしかないじゃんとまで言ってしまうほど追い詰められていたキラをアスランの鉄拳が解き放ち、お前ひとりで何が出来る、もっと周りを頼れよと諭す。数多の犠牲の上にスーパーコーディネーターとして生まれてしまい人の業を生負ったキラの呪いが解ける瞬間だった思う。

今回はアスラン周りのサプライズが多く、一番目立っていた。キラより強いことになっていたし。

後半の展開は従来のシリアスなSEEDシリーズとはかけ離れたものになっており、これにキレる人がいるのも分かる。自分も最初は何を見せられているんだと呆気に取られたので。監督がファンに楽しんでもらうために作ったと言っているので、その気持ちは十分に受け取った。こういうSEEDもありかもと個人的には思う。

不遇な主人公シン・アスカの汚名返上の大活躍が嬉しい。TVアニメ版のデスティニーガンダムの初出撃が脱走兵の追跡という見せ場もクソもない扱いだったのに対し、今作のデスティニー出撃はインパルス出撃のBGMも相まってアガる。こういうシンが見たかったよなと思わせる暴れっぷり。

ルナとアグネスのタイマンは個人的には好み。何で私は可愛いのに愛されないのよとギャンギャン言ってルナに当て擦りしているアグネスを知らねえよと一蹴するルナが良い。何を見せられているんだこれはと思ったが。

最後のラクスのナレーションもテーマを全部説明しちゃってるんだけど、今の世界情勢なんかを鑑みるとこれくらい分かりやすく提示した方がいいのかもしれない。とにかく目の前の人を愛そうよ、他者への想像力を忘れるなよということは全くその通りなので。SEEDでこんな前向きなラストを迎えられるなんて素敵じゃん。

今後続編が作られるかどうか分からんが、最後に笑って終われたのでこれで終わりでもいい気がする。