このレビューはネタバレを含みます
フランソワ・オゾン初鑑賞。
売れない女優と同じく売れない弁護士が殺人の容疑を着せられたことを利用し、一世一代の大芝居を打ったことで成功を手に入れる訳だが、それも長くは続かない。真犯人がいるからだ。
そこで出てくるのがイザベル・ユペール。彼女が登場してから一気にドライブがかかる。無声映画時代の大女優で仕事がなくなった現在もその威厳だけは持ち続けており、話が通じなさそうなキャラクターは『サンセット大通り』を彷彿とさせる。
この自らを真犯人と称する人物の登場で状況が一変するかと思いきや、そういうサスペンスはあまりなく、双方がウィンウィンとなるような落としどころを見つけ、互いに協力し合う姿に好感を持つ。
シスターフッドであり、フェミニズム的なテーマを盛り込みながら40年代の映画を彷彿とさせる軽やかな語り口が好み。