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1950 水門橋決戦のNowLoadingのレビュー・感想・評価

1950 水門橋決戦(2022年製作の映画)
3.1
 本日の一本。前作「1950 鋼の第7中隊」の直接続編。

 うーん。前作にはあったカタルシスがゼロになってしまった。曲がりなりにもあった「子孫に戦争させないために俺達が戦わなきゃ」というお題目がなくなってしまっている。アメリカ軍の飛行場を潰す(さもなくばサイパンのように空爆ないし空輸基地とされてしまう)のは大いに大義名分があるのでまだ向こう側の視点で見れるのだが、今回は米軍殲滅の為にと興南港へ撤退する橋を爆破して文字通り袋の鼠にする作戦のようだ。

 敵の戦意を挫く作戦といったところだろうが、最終的にこの作戦は失敗に終わり、米軍は港から撤退に成功する。あたかも俺達は戦って勝ったんだといいたげなエピローグであったが、38度線まで押し返したところで米軍を朝鮮半島から追い出せていないので前作以上に強引なシメになってしまっている。別に追い返してしまってそこで俺達の勝ちだ!エンドならいいけど今作がリアル寄りなのでこのエンドには出来ていないのがよくなかった。

 さて、前作でほぼ無敵の第7中隊が今回も大暴れするのだが今回は凍てつく冬によってデバフがかかっている。が、それでありながらアメ公にあの大立ち回りできるんだからなんなのよと言いたくもなる。よって、本作でも大爆破の贅沢なアクションビジュアルをお楽しみにはなれる。

 しかし冬場の暗い背景と前作の暗い話をバカのノリで観れるあの感覚が本作にはない。あの雰囲気でキメながらバンバン殺戮するからフィクションとして面白いのに妙に今回はダークで惨たらしく登場人物を殺す。ようするにリアルよりの描き方だがやってることが前作同様無双ゲーなので単純に食い合わせが良くない。

 元々ドラマパートも多くないので主人公以外死んでもふーんとしかならない。前作は創作としての良さ、今作は実話としての悪さがハッキリと現れた作品であった。
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