わか

神回のわかのネタバレレビュー・内容・結末

神回(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

夏休み中の教室、文化祭実行委員で集まった、沖芝と加藤。
そして、突如始まる午後1時から1時5分までの5分間を延々に繰り返すループ現象。
そのループはなぜか沖芝だけに起こっていて…

コントロール不能のループ現象が自分だけに起こったら。
そして、それが5分間だけという超短時間のループだったら。

対象範囲が違うだけで、先日鑑賞したリバー流れないでよとは全く異なるベクトルの作品になるからループものは奥深いなと思った。

誰も知ることのない、ループを抜けるための途方もない試行回数の努力。
予測と検証の繰り返しの果てに辿り着く絶望。

高校生という若さゆえの未熟さに、絶望が上乗せされて、鬱屈した感情が爆発する様。
カメラワークだけで沖芝の心情に変化が生まれたのが分かった。

あの状況で年頃の男子が辿り着きそうな…と思ってしまった。
どうせ覚えてなんて居ないのだし、それ以前の沖芝の突拍子もない行動の数々を観てるとあり得なくはないとも思える妙な説得力があった。
そこからの猛烈な自己嫌悪を含め、エヴァを彷彿とさせる思春期の不安定な心情描写だった。

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実際にはループというか走馬灯に近い印象だった。
それも実際にあった思い出ではなく、こうであったら良かったという出来事。

歳をとって死の直前に強く思ったのが、若かりし頃のほろ苦い思い出をベースにした妄想だったというのが、、素敵というべきなのか切なすぎると言うべきなのか。

学生時代の恋愛を引きずってそのあとの長い年月を過ごしたであろう沖芝は果たして幸せだったんだろうか。。

その人の人生の選択だから他人がとやかく言う余地はない。
でも、無理くり延命までされて叶うことのなかった妄想を見続けるのは苦痛だと感じた。

だから最後まで良かったねというふうには思えなかった。
わか

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