奈良県にある町の、ある旅館が舞台の物語。
朝霧に包まれた山間部、寂れて廃墟になった町並み、山の中にポツンと建つ一軒家、自分が生まれ育った場所に似た景色ばかりで懐かしくもあり切なくもなった。
いわゆる限界集落で暮らし、どんどん過疎が進んでいくであろう町を見てるとやっぱり淋しい気持ちなるのだけど、そこで暮らす人たちは毎日を淡々と過ごしていて、一人ひとりが自分の人生を生きているのだなと感じた。
まだ子どものイヒカと、母親の咲が感じる未来への感覚の違いは、そのまま観た人の年齢でどっちに共感するか分かれそうだなと思った。
人は少ないけど、その分1人が担う役割の重さが大きいのが田舎の暮らして、1人居なくなるだけで崩れる均衡を観ていると、地元から出ていった自分としては本当に複雑な心境になった。
それでも、ここで生きていくと決めた人、生きている人は間違いなくいるんだと感じる作品だった。