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ヒトラーのための虐殺会議の映画初心者のレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
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ウィンゼー会議の存在自体、個人的に初耳だったのだが、その狂気さ味わうには十分すぎる内容だった。

まず、会議の題目として主に
•ユダヤ人の効率的東方移動
•混血児の法律的区分
•人道的虐殺に関して
等が挙げられた。
驚くべきことに、処断が必要なユダヤ人をヨーロッパ全土規模で捉え、結果1100万人にも登る人間を「処理」することを計画していた。
そのようなことになれば、民族移動の際の交通機関の麻痺や一人一人のユダヤ人であるかの否かの検査に伴う困難さも火を見るよりも明らかである。
ただでさえ戦時中で逼迫しているリソースを何の利益もないユダヤ虐殺に注ぐ理由が、「総統の意思」だからや「将来への貢献」だと述べていた。あまつさえ、然るべきことした功利者とまで自称する始末。これが本映画のタイトルの所以だろう。
もう一つ、恐ろしいのが物資的効率さだけでなく、人道的効率さも計画に組み込まれていたことだ。その結果がアウシュビッツでの「効率的」ガス処刑に繋がる。

この忘れがたき惨劇は、静謐な湖の側に建つ別荘に始まり、その沈黙は数少ない理性ある者の言葉さえもかき消した。
己の権益や狂った使命に駆られた人間たちがこの悪夢を作ったことが堪らなく恐ろしいと感じた。
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