Jun潤

ヒトラーのための虐殺会議のJun潤のレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
3.5
2023.01.31

祝!レビュー777本目!!🎊🎊

予告を見て気になった作品。
久しぶりのホロコースト関連もの。
しかし今作の見どころはなんと言っても、プロモーションの段階では虐殺の実態ではなく、議事録を基にした虐殺について決める会議の様子を描いたワンシチュエーションということ。
大義や思想ではなく、中間管理職たちがまるでビジネスのように大量虐殺を計画するというのは、シュールなブラックコメディとなるのか、ダークスリラーとなるのか、期待です。

1942年、冬。
ベルリンのヴァン湖のほとりにある邸宅に、ドイツの高官らが一堂に会した。
議題は、1,100万人のユダヤ人の収容所への輸送と殺害方法について。
史上最悪、狂気の会議が開くー。

うーん!不快!不穏!不気味!!
これは怖い、怖すぎる!
ドラマだったとしても恐ろしいことこの上ないのに、歴史上の実際の出来事だというのだから尚のこと恐ろしい。

ストーリー、会議の進み方自体は実際の企業にもありそうな、腹の探り合い、裏での手の回し合い、責任区分の明確化、具体的な方法の提示などなのですが、その中身がユダヤ人の大量虐殺だというのだから、、。
しかも会議中、「殺す」や「殺害」、「虐殺」という単語を使わず、「処理」という単語で押し通している。
さらには、ユダヤ人をさも害虫のように扱い、同じ人間であるはずのドイツ人のために必要なことというのが、会議の参加者全員の根底にあり、誰も異を唱えないのだから、戦時中に限った話なのかわかりませんが、人間とは恐ろしいものです。

宗教的理由を背景とした差別というのは、無宗教・無信仰の日本人からしたら縁遠い話かもしれませんが、過去実際にそれを理由に虐殺が行われていた。
『進撃の巨人』の描写を借りれば、ユダヤ人の実態の如何に関わらず、当時のユダヤ人には何の罪も無いのに。
過去の罪に対する罰を盾にして自分たちの非人道的行いを正当化するというのがどんなに愚かなことか。

これまではホロコースト“される”側の人間を描いた作品を観てきましたが、今作のようなホロコースト“する”側の人間を描いた作品を観ることも、歴史を知って今後同じ過ちを犯さないためには必要なことですね。
Jun潤

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