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正欲のireneのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
10/25 東京国際映画祭にて!🎬
朝井リョウ原作小説の実写化。小説の大ファンなので、原作を読んだ立場からの感想になります。🙇🏻‍♀️

まず感じたこととしては、原作よりやさしめに描かれているなぁということ!
例えば、原作は「マイノリティと言うと皆LGBTQを想像するが、それらは結局マイノリティの中のマジョリティに過ぎない」ということが結構キツめの文言で表現されているシーンもあって、実際夏月や佳道のような人々のリアルな感情はそっちなんだろうなーと。
ただ、映画は国際的にも広がっていくものなので、そこらへんの描写はやさしめというか、誰が見てもショッキングにはならないように上手く落とし込められていたと思いました。

あとは、ラストシーンのアレンジが見事でした。
“普通に”全うに、正しく生きてきた検事には手に入れられなかった、「いなくならないから。」
身がキュッと引き締まる終わり方でした😭

「この世界で生きていくために、手を組みませんか。」
⬆️こちらも邦画の好きな台詞ランキングに入ります

夏月と佳道の関係は、2人のマイノリティ的な側面を抜きにしても今風で良いパートナーというか、原作よりもさらに素敵に見えました。(朝食を食べるシーンとか、良かったね…🍳)

丁寧に描くとなると夏月と佳道に焦点が当たるのは必然なのですが、神戸八重子という存在がこの作品の意味だと個人的に思うので、もう少し長尺だと良かったなあと😇
男の人が気持ち悪いし性的なことには嫌悪感があるけど実際生活するのに弊害はないレベルで、恋愛経験が少なくて、だからと言って性的指向がストレートからズレる訳ではなく性を感じない綺麗な異性しか受け入れられない………この女の子像ってまさに令和のリアル❗️という感じで、八重子の感情の機微、わかるなーでも傲慢だなー、痛いなーと色々自分を俯瞰するきっかけになりました

『多様性』、難しい言葉ですが(この作品を読んでからさらに使えなくなった)、西加奈子さんがこの作品の書評として記した“それでもなお、多様性は大切だと思う。しつこく思う。これからは、痛みと苦しみ、そしておぞましさを伴うものとして、この言葉を大切にしてゆきたい。”という考えに共感を示します
恋愛なんてまともに出来ず、映画ばっか観てそれが一番の幸せだって思ってるのも一種のマイノリティだもんなとか思ったり。

あとは、この作品を見た人で「ぺドなどを肯定している❗️😡」と批判する人をたまに見かけますが、むしろ逆というか、意思あるものを傷付ける指向は絶対に認められない と明確なカウンターがある物語だと私は思います

中々長編なので、2時間に収めるのはキツいだろうなと思っていたけど、やっぱり小説の3割くらいしか映画では描ききれていませんでした。
映画を観て良いと思った人も物足りないと思った人も、とにかく原作を読んでほしい〜❗️😭それに尽きます!
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